天暁山東西寺(朝来市生野町口銀谷)

2017.07.20
中井一統特集

 口銀谷(くちがなや)の寺町通りの西端の来迎寺の右隣に佇む寺院。狭いがこの通りはごみひとつ落ちていない雰囲気で気持ちが爽やかだ。創建は織豊時代末期で当初は東恩寺と称していたが、その後2、3の寺と合併して昭和27年に東西寺と改称。現在の本堂は明治16年に再建された。浄土宗。本尊は阿弥陀如来である。
 この寺の特色は山門を上がって右手の東照宮で扁額があがっている。江戸時代殷賑を極めていた生野銀山の代官が、家康公の霊を祀るため幕府に懇願し送られてきたのが家康の木像で、以後2代目から14代までの尊碑が送られてきて現在に至っている。正面本堂を見上げる。大きな造りの向拝には大変大きな竜が居る。右上空を見上げ、手足の爪や宝珠がやたらと大きいのと髭が銅線ではなく普通の太い針金だ。木鼻の唐獅子も大きく阿吽の呼吸で辺りを睨んでいる。竜の裏に、彫物師、丹柏住中井清次良橘正実の銘がある。
中井権次研究家 岸名経夫
 

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