シカ肉 郷土の味に

2018.03.31
未―コラム記者ノート

 篠山市によると、市内におけるシカの捕獲頭数は昨年4月から今年2月末までで863頭。
これだけの数を捕殺しながら食肉としての利用はほんのひと握りでしかない。「奪った命は大切に」という考えや、シカ肉が栄養価に優れた食材であることから、食資源としての利用を進めながら獣害問題の解決に取り組もうとする神戸大学農学科の教授が同市大上地区でセミナーを開いた。シカの解体体験会とシカ肉料理試食会の2本立てで行われ、にぎわいを見せていた。

 同地区に暮らす若き猟師が講師となり、吊り下げたシカのむくろを前にして、参加者らに皮の剥ぎ方や体のしくみなどを伝え、ロースやモモなど、どの部位がどのような料理に向くかを伝授した。

 興味津々の参加者たちは、ぎこちないナイフ捌きながら解体作業に熱中。骨から肉塊を切り取ると達成感に満ちた表情を浮かべていた。

 焼き肉を一口。鉄分を多く含んでいるためか、レバーに似た風味が広がる。牛肉とは明らかに違うが、これはこれでありだ。シカ肉が猪肉のように郷土の味になる日は来るのか。(太治庄三)

関連記事