一体感

2018.07.26
丹波春秋未―コラム

 サッカーワールドカップ戦が終わった。直前の監督交代で危ぶまれた日本は、予想外に善戦した。西野監督の采配が評価されるが、それまでハリルホジッチ前監督が積み上げていたものが効果を上げたことも見逃せない。

 日本はこれまでショートパスを巧みにつないでいく戦術が中心だったが、今回は縦方向のダイナミックな攻め方が目立ち、見違えるほどだった。ただ、ハリル氏はドライな指導に徹するあまり、チームを一つにまとめ上げることが出来なかったようだ。

 決勝戦はフランスにクロアチアがどう挑むかが見ものだったが、人口400万人の小国が果敢に戦った。もっとも、セルビアやボスニア・ヘルツェゴビナなどと一緒だったユーゴは内戦で連邦が崩壊するまではサッカー大国で、五輪で金銀銅メダルを5回取っている。ハリルも、少し前の日本監督オシムもボスニア出身だ。

 しかし内戦の傷を心に抱えた選手も少なくなく、今は別個にプレーした方がチ
ームのまとまりが断然良い。英国が今もイングランドやスコットランドなど地域別のチームで参加しているのも、地域意識が非常に強く、協会も独立しているからだ。

 日本の選手が盛んに強調していた「一体感」。技術や力とは異なる次元の捉えどころのないものだが、やはり欠かせない要素なのだろう。(E)

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