鍵を握る新病院 「丹波医療圏」が存続 県保健医療計画改定で

2018.07.24
ニュース丹波市地域

表1・入院患者受診状況(H29.3月入院患者調査[兵庫県医務課調べ])

表2・新しい2次保健医療圏域

 今春改定された2023年度までを計画期間とする、保健、医療分野の基本的指針となる「県保健医療計画」で丹波医療圏が他圏域との統合を免れ、独立した2次保健医療圏として存続した。来夏オープンする「新病院の動向を見て判断」とされた。丹波圏域健康福祉推進協議会医療部会が7月19日、柏原住民センターで検討した同計画に盛り込む丹波圏域の重点取り組み項目も新病院によるところが大きくなっている。入院患者の3人に1人が他圏域=表1=と、患者流出が最も多い丹波圏域の患者を新病院がどれだけ受け入れられるか。新病院は丹波医療圏存続の鍵を握っている。

 2次保健医療圏は、救急など一般的な保健医療提供体制を構築するまとまり。医療圏ごとに拠点が設けられたり、課題や推進方策を定めるため、独立している方が地域事情に目が行き届く。阪神北と西播磨が統合され、8圏域になった=表2

 急性期病院では、「圏域の中核」であることが、医療従事者や患者を集めることにつながる。圏域の拡大で、2番手、3番手病院になれば求心力が低下する。

 同計画で丹波圏域は、一般病床と療養病床を合わせ、他圏域への患者流出率が33・4%と10圏域で最も高いものの、「新病院が設置されるところで、新病院が圏域で担う医療機能や今後の患者動向等を踏まえる必要があることから、次回計画策定時に圏域のあり方を検討する」とされた。

 計画策定事務局の県医務課によると、人口規模が2市で10万人あまりと小さく、患者流出が多い点は医療圏統合検討の材料になるが、新病院が建設中なのに加え、患者の流出先が丹波市は福知山市、西脇市、篠山市は三田市などと方面が異なっている地域特性があるという。

 仮に丹波医療圏をなくすとなった場合は、丹波市は北播磨、篠山市は新設した阪神医療圏に編入といった医療圏の分割是非の検討が必要になるため、現段階でそこまで踏み込むのは時期尚早と判断したという。

 丹波、篠山両市、医師会、歯科医師会、薬剤師会、各病院長らでつくる丹波圏域健康福祉推進協議会医療部会は、丹波圏域で重点的に取り組む事項を、医療従事者確保、心血管疾患、脳血管疾患、在宅医療の4点とした。

 丹波地域は、急性心筋梗塞の標準化死亡比が男性139・4、女性132・2で県平均(男性116・6、女性118・9)を上回っており、新病院で特にカテーテル治療の件数増加をめざす。

 脳血管疾患も男性108、女性106と県平均(男性93、女性90・6)を上回っている。丹波市では男性113・2、女性123、篠山市は男性99・7、女性79・3と両市間で大きな違いがある。新病院で脳卒中治療の提供と回復期リハビリテーション(45床)の新設により、改善をめざす。

関連記事