「山の国」「海の国」がタッグ ナマコ増殖研究に協力

2018.11.29
ニュース丹波市地域

カキ殻を詰めた竹かごを海に沈める八尾社長(左から3人目)、本藤さん(同7人目)、生徒たち=京都府宮津市で

兵庫県丹波市立休養施設「やすら樹」(同市氷上町)指定管理者の「株式会社かどの」(八尾正幸社長)が、由良川で丹波市とつながる宮津湾で進むナマコ資源を増やす研究への協力を始めた。丹波市の竹で編んだ竹かごを漁業者、地元高校生と海に沈め、ナマコのすみか、増殖礁として役立つか共同で実験する。縁をつなぎ、宮津の海の幸を同施設の料理に取り入れ、互いにメリットが生まれることを期待している。

稚ナマコのために竹かご漁礁製作

増殖をめざす稚ナマコ

「由良川を通しての里山里海連携プロジェクト」。

中華料理の高級食材として中国へ輸出されるナマコ。宮津は漁業者が大きさと水揚げ量を自主規制する資源管理によって高品質のナマコ産地になりつつある。ナマコを増やすため、人間でいう赤ちゃん、幼児期に当たる天然稚ナマコの生息環境に好ましい人工魚礁の研究を進めており、「かどの」が資金を出し、丹波市春日町平松区森林愛好会と竹細工職人の中川篤郎さんのに編んでもらった竹かご5つを提供した。

京都府漁協宮津支所の漁師、本藤靖さん(57)の指導で、八尾社長ら「かどの」の6人と、府立海洋高校海洋科学科(宮津市)3年生20人らが竹かごにカキ殻を詰め、所定の深さに沈めた。来春と秋に引き揚げ、カキ殻で暮らす稚ナマコの数や竹かごの海中での耐久度を見る。

山と海の連携に期待

竹かごにカキ殻をぎっしり詰める「かどの」の関係者

本藤さんは「1次産業は弱っている。外部とつながることが大事。ナマコが増える実績が出れば素晴らしい。丹波で宮津の食材を使ってもらえる連携が生まれればなお素晴らしい」と言い、海洋高の男子生徒(17)は「竹かごは初めて。山と海が連携できるのはいいこと」と話した。

八尾社長(63)は、「弊社が指定管理を受け10年になる。特長を出すため、山の中の『やすら樹』でお客さんに、海の幸を味わってもらえるようにしたい。ナマコを入り口に、いい関係が築けたら」と期待している。

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