丹波篠山市場を運営 「gino丹波」代表社員 林尚司さん(篠山市犬飼)



丹波のブランドを追求

 「どこかに家を建てたいね」。妻のひと言で土地探しが始まり、辿り着いたのが今の住まい。2008年に奈良市から移住した。物件探しで何度か篠山に来る度に買って帰った野菜のおいしさは強く印象に残った。

 定年退職したら畑を耕しながら地域に根付いて生きていくのもいいかなと、先をぼんやりと思い描き、15年に篠山口駅構内で開かれている篠山イノベーターズスクールに“入学”。農業ビジネスの一端を学んだ。

 同スクールを通じて今年3月、経営悪化のために閉鎖になった篠山魚市場を再興してほしいと白羽の矢が立った。調べれば調べるほど、市場がおかれている状況の厳しさが見えてきた。一方で、丹波の野菜にビジネスチャンスも感じていた。市場を今の時代に合ったものに作り替え、農家が安定した収入を得られる仕組みをつくれないかという思いもあった。1カ月悩んだ末、首をたてに振った。

 8月末で脱サラ。10月に新しい市場が動き始めた。開設から1カ月、2カ月経つにつれ、生産者同士で学び合う姿が見られ、質の良い野菜が並ぶようになった。「こちらは失敗の連続。それでも生産者がスタッフに差し入れをくれたり、『市場が再興して喜んでるよ』『栽培面積を広げるわ』といった声を聞く。本当にうれしい」と目を細める。

 「都市部では飛ぶように売れるが、まだ篠山の野菜だと認識されていない。消費者が共通のイメージを持ち、安定供給できてこそブランド。地域の人が楽しそうに農業をして、収入が安定し、新規就農者もやって来る。丹波地域全体を見据え、そんなブランドを追求していきたい」と口調に熱がこもった。57歳。