入国管理法改正案

2018.12.06
丹波春秋

 今年、運転免許を取った知人の話。自動車学校で一緒に訓練を受けていたベトナム人女性が実地試験は合格したが、日本語で受けなければならない学科試験で四苦八苦し、終了できずに諦めたという。

「長い間日本に住んで結婚もし、日常会話は大体出来るのに、日本人でも難しい用語が出て来る学科試験の壁は厚かったみたい。ご主人が体調を崩して病院に送り迎えする事情が出来たので免許が必要になったと聞いたけれど…」と同情していた。

 外国語による受験は府県によって異なり、最近はベトナム語がOKの所も出て来たそうだが、大半は英語、中国語、ポルトガル語に限られている。国際化に対する制度の遅れは、運転免許に限らず色々な分野であることだろう。

 介護士や看護師でも外国人への門戸が開かれているとは言え、同様に配慮に欠ける点が少なくないようだ。それをカバーするために自治体や民間のボランティアが頑張っている例も聞くが、やはり限界がある。

 外国人労働者の受け入れを拡大するための入国管理法改正案の国会審議が進んでいるが、「労働力不足の解消」という目的ばかりが先行している感はどうしても拭えない。来日した人達に、収入を得るだけでなく日本の生活に馴染んでもらうための、国を挙げての体制整備が望まれる。(E)

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