「割りばし」→「護摩木」作りへ転業 1日3万本製作、地道な努力で受注増


写真・前川製箸所が作っている護摩木=2019年1月16日午後3時16分、兵庫県丹波市山南町前川で

 兵庫県丹波市山南町の前川製箸所は、割り箸(ばし)作りから護摩木(火焚串)作りに転業して15年ほどになる。木を機械で削るというローテク分野ながらも地道な技術や営業などで1日3万本を製作。受注量を年々伸ばしている。

 

当初は門前払いも逆転の発想で営業

 創業は1947年。割り箸の材料は、当初、国内産のマツだったが、1970年ごろからより白色で品質が良いソ連産のエゾマツを使うようになった。最盛期には従業員40―50人を抱え、カナダにも工場を持った。同町内にも何軒か同様の工場があったという。

 徐々に中国産の安い割り箸が市場を占有、国内産の割り箸業界も先細りに。同社も徐々に受注量が減り経営難に陥った。

 2000年ごろ、ある寺から護摩焚きに使うため、製品にならなかった割り箸を譲ってほしいとの訪問を受けた。その時、見せてもらった護摩木をヒントに4人で生産を始めた。

 寺社に営業したがまったく取り合ってくれなかった。周辺の神社の協力で全国の神社の会合時に配布される冊子を入手し、広告欄に掲載されていた寺社用品販売店に営業。社務所の裏に置かれた寺社用品の空き箱に書かれた販売店に営業することもあった。

写真・お守りの中に入れる2センチほどの板札も作っている

 近年、寺社用品をつくる業者は高齢化や後継者不足で廃業するところが増えたことや、同社が小ロット、短い納期などの細かいニーズに応えるなどして徐々に生産量が増加。護摩木だけでなく、お守りの中に入れる板札や福笹にぶら下げるお守り木など、さまざまな大きさや用途に応えている。

 現在3代目の前川吉秀さん(61)が代表取締役を務める。前川社長は「お客様から求められる小ロット、さまざまなサイズ、厳格な品質、短期間の納期はとても手間がかかる分、チャンスがあり、ありがたい」と逆転の発想で奮起する。「今後は絵馬のインクジェットプリントを手掛け、さまざまなニーズに応えたい」と話している。