亡き先代の遺作集製作 弟子と同級生が心込め


先代住職の智道さんの遺歌・遺文集「折にふれ事にあたりて」を発行した垂水恵光さん(左)と、収録作品を選んだ井上さん=兵庫県丹波市市島町上竹田で

 2年前に87歳で亡くなった兵庫県丹波市市島町の薬師寺前住職、垂水智道(ちどう)さんが書き残した短歌や随想などを伝えようと、同寺の垂水恵光住職(51)が智道さんの遺歌・遺文集「折にふれ事にあたりて」を発行した。智道さんの同級生の井上敏さん(89)が、数多くある歌の中から200首ほどを選び、一冊にまとめた。恵光住職は「思い出を形に残せて満足している」と話している。

 遺歌・遺文集のタイトルは、智道さんが生前、日々感じたことを詠み記した短歌集「折にふれ事にあたりて」から取った。短歌集に収録されている作品を中心に、智道さんが20年ほど前に出版した自伝「昭和の或る人生記」の中から生い立ちの部分を載せたほか、随想や、智道さんが取り上げられた丹波新聞記事も収録した。

 養女として同寺に入った経歴や毎日の暮らしの様子、学徒動員や兵庫尼僧堂での思い出のほか、智道さんの先代住職・光禅さんとの生活や恵光住職と過ごした日々などを詠んだ作品を多く掲載。同級生でもあり、高齢者の学びの場「丹波OB大学」の短歌コース講師としても智道さんにかかわった井上さんは、「人柄や生涯が伝わるように選んだ」と語る。

 恵光住職は、本山・永平寺を訪れた際に智道さんが詠んだ歌「たまさかの姉弟の旅は楽ならず行く先厳しき大本山へ」に思い入れがあるという。「そんなこともあったなぁという思い。一緒に写真を撮ったのも良い思い出です」と振り返る。

 井上さんは、智道さんが亡くなるひと月ほど前に詠んだ歌「京銘菓『絹ほのか』賞で銀杏の皮むく庫裡に新春間近か」が心に響くと言い、「智道さんが人生最後に詠んだ作品で、最もあでやかな歌だと思う」と話している。

 B6サイズ149ページ。100冊を製作。