僧侶30人、江戸時代の刑場跡などで読経 人権に関する史跡巡る

2019.03.16
ニュース丹波篠山市地域

岡屋河原刑場跡で経を唱える僧侶ら=兵庫県篠山市で

兵庫県の丹波、但馬地域をエリアとする曹洞宗兵庫県第2宗務所がこのほど、篠山市内で人権学習会を開いた。刑場跡など、市内の人権に関係する史跡を巡り、学びを深めながら経を唱えた。

同宗務所は年1回、人権学習を取り入れている。丹波、但馬地域の住職ら約30人が参加。▽江戸時代の岡屋河原刑場跡▽在日コリアンのための民族学校跡▽被差別部落の人々に酒蔵出稼ぎの門戸を開いた大対勇三郎翁碑▽隠れキリシタンが弾圧から逃れるために子安観音として崇拝した「マリア観音像」―など6カ所を訪れ、人権推進委員の解説を聞いた。

篠山川の堤防のり面にある岡屋河原刑場跡では、参加した僧侶らが花をたむけ、焼香し、経を唱えた。

この刑場跡は、江戸時代中期の享保14年(1729)に、篠山藩が市東部の曽地川の東との2カ所に設けたもので、被差別村の人たちが工事にあたった。また、管理や清掃といった役負担も負わせた。

「多紀郡中歳代記」という文書によると、享保16年(1731)12月には、万屋半左衛門を斬首により刑を執行したという記録が残っている。半左衛門は庄屋で、大雨が降るたびにあふれる川を改修したところ、大庄屋の怒りをかい、藩に訴えられたとされている。また、文化5年(1808)には、18歳の百姓の娘が放火の罪で刑が執行されたとされている。

同宗務所長の飯田天祥住職(篠山市)は、「地域の歴史を人権の視点で捉えるのが目的。篠山市に住んでいても知らないことが多いので、みなさんと一緒に学べれば」と話していた。

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