野菜を”製造”する工場が稼働 味、葉の固さなど調整可 成長速度は8倍


写真・人工光をあて野菜を生産する「栽培ベッド」での栽培例=2019年2月27日午後3時42分、兵庫県篠山市八上内で

 「農の都」をうたう兵庫県篠山市にこのほど、業務用野菜を栽培する植物工場が稼働を始めた。人工光、二酸化炭素、肥料などの量と組み合わせによって、味、色、葉の固さや水分量、大きさ、栄養価まで調整できるほか、作業効率を考えて、レタスなら葉のはがしやすさを一定にすることもできる。さらに成長速度は露地栽培の約8倍という。

 植物工場の開発、施工を手掛ける森久エンジニアリング(神戸市)と、日本アジア投資(東京都)が共同出資して設立した合同会社「MJベジタブル1号」(東京都)が運営にあたり、野菜の生産業務を「森久」社が受託する。栽培、梱包、出荷までを行う。

 同地内の空き工場1棟の約半分(約820平方メートル)を活用。長さ14メートル、10段の「栽培ベッド」を12並べ、チェーン展開している外食産業をターゲットにフリルレタス、クレソン、赤水菜、結球レタスなどの業務用野菜を年間約200トン生産する予定。

 プロジェクト総額は金融機関からの融資を含め約7億円。年約2億円の売上を見込む。約20人を地元雇用する。

写真・植物を育てる設備を整備した工場

 「森久」社は、蛍光灯やLEDライトなどの人工光で植物を生産する植物工場を秋田から沖縄まで13カ所で施工。植物の生育に必要な人工光を効率よく当てる反射板の技術に特許を持つ。

 これまで消費量の多い結球レタスを植物工場で安定生産することは、生理障害の多さなどから難しいとされてきたが、合同会社(特別目的会社)の設立によって、技術力の発揮できる工場建設が実現した。

 「森久」社によると、例えば、高齢者が食べる料理に使うのであれば、食べやすいように葉を柔らかく、かつ食べ慣れた野菜の味がしっかりとあるものに―など、その野菜を使う料理の種類(和食、洋食など)、他の食材との相性、食べる世代といったニーズに応じて種や育て方を設計できるという。

 気象の急変などで農作物の供給が不安定になるケースが目立つ中、大量の業務用野菜を必要とする外食産業などにおいて農作物を安全に、安定した品質、量、価格で供給できる植物工場への注目が高まっているという。