周産期医療未来のために

2019.05.26
未―コラム記者ノート

 分娩の取り扱いを兵庫県立丹波医療センターに集約する方向性を示したささやま医療センター。医師2人で分娩を継続するのは過酷だ。1人は常に待機し、もう1人も何かあれば呼び出される。十数年前、2人で県立柏原で勤務していた産婦人科医から、「夜呼び出される心配をしなくて済むのは、学会で出張している時くらい」と聞いたのと同じ事が改善なく続いている。

 激務で知られ、故になり手も少ない産婦人科医を絶滅させないため、全国の産婦人科医は現場から集約の声を上げている。医療資源を集め、妊婦を集め、世界一安全と言われる水準のお産を守る流れを止めることはない。年間90分娩程度の施設を維持するのは人、費用両面で非効率だ。丹波医療センターに年間300―400分娩を集め、丹波医療センター産婦人科の充実を探る方が、分娩数が顕著に減っている丹波地域2市の周産期医療の未来につながる。

 丹波篠山市で産科充実のため、市民も含めた委員会が始まる。産後のフォローや産前、子どもをもうけようと思っていない人が翻意するような支援策を考えては、と思う。(足立智和)

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