活躍の場広げるドローン 地方では農業に重宝 危険作業の代替も


撮影目的で飛行するドローン=兵庫県丹波市青垣町佐治で

 無人航空機「ドローン」の活用が産業分野にも広がっている。操縦がやさしく、機体の進化が著しい4枚以上の羽根を持つマルチコプターを使い、空から写真や動画を撮影するもので、人が立ち入れない場所での点検や測量などに重宝され、その力を発揮している。田園が広がる兵庫県丹波地域では、農業分野などにも導入されており、地方にも活躍の場が広がっている。

 ドローンは航空法の規制を受ける。人口密集地や高度150メートル以上で飛ばす場合、申請に基づく許可が必要になる。このほか▽飛行は日中のみ(夜間飛行の禁止)▽肉眼による目視の範囲内で飛行▽第三者、建物などとの間に30メートル以上の距離を保つ▽祭礼や縁日など多数の人が集まる所で飛行させない―などのルールがあるが、事前に承認(最長1年)を得ることで飛ばせる。

 

ドローンで屋根のいたみ具合を点検する様子

屋根瓦の点検に活躍

 同県丹波市青垣町の朝倉瓦店は、屋根瓦の点検と、住宅メーカーのリフォームの見積もりに添える資料写真の撮影用に導入して1年になる。はしごをかけて登っていた危ない作業をドローンで代替している。「経年劣化で滑りやすい屋根があり、こわい思いを何度もした」と朝倉和茂社長(50)。昨年、大阪を襲った台風の後、3階建ての住宅屋根の修理もドローンで撮影できたことで、仕事が受けられた。

 同県丹波篠山市野中の矢代建設(澤井保人代表取締役)は、屋根や外壁の劣化、破損を確認する「住まいの診断」に活用。今年3月に導入。以前は、職人が長いはしごを掛けたり、足場を組むなどして屋根に上がり、不具合個所を探って見積もり額を算出していたが、危険がつきまとい、時間も要していた。しかし、営業マンがドローンを使うことで、職人を呼ぶ必要がなくなり、見積もりから仕事につながるまでの時間が大幅に短縮した。

 ドローンが撮影する映像はスマートフォンを介してリアルタイムで見ることができ、画質も4Kの高解像度。ズームアップもできるため、「実際、屋根に上がって点検するのと同じレベルで不具合個所の確認ができる」と営業部長の三木義晴さん(49)。「お客さんと一緒に屋根に上がって修理個所を見て回ることは出来ないため、ある意味、修理内容は業者まかせとなっていた。しかし、ドローンの映像をその場でお客さんと一緒に見ながら確認できるので説得力があり、信頼にもつながっている」と話す。

特産品への農薬散布も担う

 ドローンの技術は農業分野にも進出。丹波市氷上町の酒井農機商会(酒井克明社長)は、ドローンによる農薬散布を事業化している。昨年度実績が70ヘクタール、今年は100ヘクタールを超える見通し。水稲を中心に、丹波地域特産の丹波黒大豆や丹波大納言小豆のほ場で散布する。

 一般的に空撮に使うドローンの機材費は約20万円(充電式バッテリーで約20分飛行)だが、同社が導入している大型機材は、一式で約300万円と値が張る。GPSでほ場の4隅の座標データを収集し、スマホの画面をタッチするだけで、機体が離着陸し、自動で農薬を散布する。

被災状況や災害復旧の進捗チェックも

 災害での活用事例もある。丹波市は、2014年8月の豪雨で甚大な被害が発生。災害からの復旧の進捗調査において、3年前からドローンを導入している。工事の進み具合や山の状態のチェックなどに使用。昨年の西日本豪雨の被害調査でも飛行させたほか、市職員が派遣された北海道胆振東部地震の際にもドローンを持参し、被害状況の把握に努めた。

 同市の春日自動車教習所(淡陽自動車教習所運営)は、7月からドローンの操縦技術を養うベーシックコースを開講する。地元のドローン講習団体の一般社団法人「丹波ドローンスクール」(笹川一太郎代表)が、同教習所を「教習団体」として認定した。同教習所の糟谷亮介常務(40)は「ドローン教習を自動車教習の延長ととらえ、教官のコーチングスキル向上に努めたい」と語る。

 このほか、丹波市内の建設業者が測量や現場写真の撮影に使っている。

今後は配送や人運ぶ「パッセンジャードローン」?

 ラジコンヘリを含めドローンパイロット歴30年で空撮事業を手がける「デボンポート」(同市柏原町)の前田太陽代表(51)によると、めざましい機材の進歩で機材さえ買えば空撮ができるようになり、撮影依頼は「プロにしか撮れない映像」に限られるという。

 前田さんは「ドローンは、配送や人を運ぶ『パッセンジャードローン』など今後、利用が広がるだろう」と話している。