県立丹波医療センター院長 秋田穂束さん(神戸市)


世界標準の医療を地域に

 2013年、神戸大総合内科教授の任期を残し、県立柏原の院長として地域医療の世界に飛び込んだ。県立柏原の診療機能の再建をはかりつつ、柏原赤十字の院長を兼務し、両病院の文化を肌で感じ、統合がスムーズに進むよう調整した。

 赴任時の最大のミッション「統合」を成し遂げ開院した県立丹波医療センター(丹波市氷上町石生)は、新たなキャッチコピーを掲げる。「世界標準の医療を地域に」「若い医療者が集う地域医療の中心地に」―。「自分でも気に入っている」と表情を崩す。

 就任来言い続けている「教え学び合う文化」がこの地に根付くことを願っている。「教育がないと若い人は来ず、この地域の医療は持たない。若い人が来続けることが、世界標準医療への近道」。

 住民待望の脳神経外科の入院治療ができる体制づくりは開院に間に合わず、「残った宿題」と認識している。それ以外は、「思い描いた通り」。

 研修医が増えた次の展開として、スタッフ医師の招へいに取り組む。アイデアはある。「市内の医療機関や薬局を結ぶ『ちーたんネット』に蓄積されるデータを分析すれば、ここで研究ができる。論文が書け発表できれば、進む道を決めている研修医より年次が上の医師の興味を引く」。

 医療センターで外来、「ミルネ」健診センターでも患者と向き合い続けるハードワーカー。「院長室にこもっていては、患者や職員の声が聞こえない」と現場主義を貫く。

 息抜きは散歩と家庭菜園。里帰り出産で生まれた孫をあやすのが最高の癒しだったが「自宅に戻ってしまった。今は孫ロス」と笑った。68歳。