アマチュア女優 有本敏子さん(丹波市市島町与戸)

2019.08.25
たんばのひと

有本敏子さん

芝居の緊張感“病みつき”

18日に丹波市市島町で行われた市豪雨災害復興5年イベント「和一処」のオープニングで、一人芝居「鉢木・名こそ惜しけれ」を好演した。竹田小学校時代に演劇の世界に興味を持って以降、磨いてきた演技で来場者を魅了した。

同町下竹田出身。竹田小6年生のとき、同小講堂に旅の一座が訪れ上演した芝居に感銘を受け、楽屋に飛び込み「私も一座に入れてください」と懇願した。「大きくなってからね」と断られたが、あきらめきれずに家出。「暗くなったら帰りたくなって、家に戻りました」と笑う。その後は地域の子どもたちと演劇をする機会があり、芝居の世界にのめり込んでいった。

高校時代は演劇部に所属。演じる役柄のため、コルセットで体を締め付け舞台で演技していたところ、苦しくなって倒れた。それでも病院で点滴を打って回復を待ち、夜の公演に間に合わせる“役者魂”を見せた。

卒業後は伊丹市に移り、ほとんど芝居にかかわることはなかったが、25年ほど前に帰丹。ほどなく人情アマチュア劇団「丹波栗」の公演を観劇して感動、その足で楽屋に直行して入団させてもらったという。

2010年には、仲間とともに「ぼたもち座」を立ち上げた。歌や踊り、司会を務めるメンバーとともに、自身は「一人芝居」を担当。市内を中心に病院や敬老会、高齢者施設などで、これまで153の公演を実施。多くの人を楽しませている。

人柄や優し気な風貌から、自然と「おっかさん」役が多いという。「汚れ役をやってみたい。違ったやりがいがありそう」と語る。「芝居は何回やっても緊張する。でも、その緊張感が“病みつき”」。77歳。

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