安全なお産ができる体制を

2019.08.08
記者ノート

 兵庫医科大学ささやま医療センターが「医師2人では安全な分娩ができない」として、産科の分娩休止の方向性を出した。丹波篠山市の検討会で、同センター産婦人科部長らが、「いつ呼び出しがあるか分からない緊張状態で24時間365日を過ごしている」などと現状を述べた。

 市が医科大と結んだ「基本協定書」に、同センターの産科、婦人科、小児科などの「存続と充実に努める」とある点について、酒井隆明市長は、「協定書のとおり、分娩を続ける努力をしてほしい」と訴え、「地元で出産できることは市民や若い人たちの希望となる」と主張、平行線をたどっている。

 医師に過酷な労働を強いることで、ますます医師が離れていく実態を、十数年前の県立柏原病院の例で、特に丹波市民は経験した。市民をあげて医師に感謝の気持ちを表す運動がきっかけとなり、医師が増え、医師が学べる環境も再構築された。

 協定も大事、地元の丹波篠山で子どもが産めることも大事だが、医師の生活を考え、何より母子ともに安全なお産ができる体制づくりを急ぐべきではないか。(芦田安生)

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