愛宕神社の御神木

2019.08.29
丹波春秋未―コラム自然

 当社の道路向かいにある小さな社、愛宕神社の御神木の樅木が高さ約30㍍の中ほどから切断された。少し傾いた幹から枝が勢いよく茂り、台風の時など倒れんばかりにきしむ。

 柏原八幡宮の境内に当たり、3メートル四方ほどの狭さながらその昔、霊水が湧き出たと伝わる由緒ある土地だが、木の下方に電線や電話線が密集しているため、万一のことを考えての決断。千種宮司による安全祈願のお祓いの後、関西電力の工事を見守った。

 樹齢3百年以上の大木。簡単には切断出来ず、周囲に伸びている枝を1本1本切り落として丸裸にしてから本体の切断にかかり、切り離した上部をクレーンで釣り上げて降ろす。高所作業車やレッカー車3台が出動し、3時間近くかかる大工事となった。

 千種宮司によると、20年ほど前にも頂から10㍍近く下で切断したそうだが、その横から同じ長さで新しい枝が上に伸びている。樹木の生命力とは強いものだ。以前からカラスが巣を作って、親鳥が餌を運んで出入りしていたのも、この新しい枝の根元らしい。事情を察知したのか、今は空になっていた。

 下の方の枝のみを少し残してきれいさっぱりとなった御神木。23日の愛宕祭は大雨が降りしきり、御神木の涙かといぶかったが、神事の直前にぴたりと止んで、胸をなでおろした。(E)

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