ストリートピアノ

2019.09.26
丹波春秋未―コラム

 友人のF君と神戸駅の近くで昼食を取ることになり、お互い早目に着いたので、地下街にあると聞いたストリートピアノのことを思い出して、付き合ってもらうことに。

 ドーム状の天井の下の広場にグランドピアノが置いてあり、30歳ほどの若い男性が「オリビアを聴きながら」を流れるように弾いている。そばのベンチで「こんなうまい人の後ではちょっと…」と思いながら聴き入る。演奏が終わり拍手すると、にこっと笑って席を譲ってくれた。

 仕方なく、恐る恐る鍵盤に向かう。暗譜で弾ける唯一の曲、カーペンターズの「イエスタデー・ワンスモア」。通行人は意外に少なく、男性とF君ら数人の聴衆の前で気楽ではあったが、何度もつまずいた。「暗譜でそこまで弾けたらすごいですよ」と、慰めながら名刺をくれた男性はIさんと言い、CMやネットの曲を作るプロのミュージシャン。東京からわざわざやって来たという。

 NHK・BSテレビの「空港ピアノ」を真似たのか、通りがかりの人が誰でも弾けるストリートピアノが日本でも駅やスーパーなどで流行り出し、有名なのが、東京都庁45階の展望台にある黄色いピアノとか。Iさんがスマホで動画を見せて下さり、「人が多くて、さすがに緊張しました」。

 怖いもの知らずの筆者も、まだまだ修行に出なければ。(E)

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