かやぶきボランティア大活躍 檀家高齢化で初めて一般協力募る

2019.10.29
ニュース丹波市地域

協力して葺き替えを行う職人、檀家、ボランティアら=兵庫県丹波市山南町で

兵庫県丹波市山南町太田の慧日(えにち)寺で行われている、国登録文化財の庫裏のかやぶき屋根のふき替えで、初めて一般ボランティアが参加し、大活躍している。これまでは職人と檀家(だんか)だけでふき替え作業を行ってきたが、檀家の高齢化などで継続が難しくなったため、SNSや県ヘリテージマネージャーのネットワークなどを通じて初めて外部に呼びかけた。野垣克已寺総代代表(69)は、「初めての試みだったが、ボランティアのみなさんには本当によくやっていただいて驚いている。まずはけがや事故のないようにしたい」と話していた。

21―31日までの期間で手伝いボランティアを募ったところ、他県を含む各地から10数人の参加があった。兵庫県の三木市、西脇市、丹波市、丹波篠山市や、岡山県などからの人たちで、“即戦力”として活躍中。野垣代表は「かやぶきが好きな方たちなので、愛着をもって作業してくれるのがうれしい」と喜んでいた。

同寺は、本堂と庫裏がかやぶき屋根。傷んだところからふき替えており、今回作業をしている庫裏北面屋根は15年ぶり。

庫裏北面屋根は、高さ12メートル、長さ25メートル。カヤは、大阪府能勢町で600束を用意してもらった。作業期間に雨予報が続いていたため、一度にはがすのではなく、一部分ずつ新しいものと交換する手法をとっている。

現場の棟梁は、かやぶき職人の後藤榮勝さん(80)=同県丹波篠山市。初日は15人が作業にあたり、午前中からさっそく屋根に上って古いカヤを引き出して下におろし、新しいものと交換していった。まだ使えるものは再度使用。「縫いぶち」と呼ばれる竹の抑えも古くなっているものは補強したり取り替えたりした。

「この仕事は特にチームワークがないとあかん」と後藤さん。職人、檀家、ボランティアらが、狭い足場の上で、それぞれが役割を考えててきぱきと作業を進めた。

会社の休みを利用して2日間、ボランティアに参加を申し込んだという竹内光英さん(53)=丹波篠山市=は、「紅葉の季節、お客さんにきれいな屋根を見てもらいたい。少しでも力になれたらうれしい」と話していた。

ふき替え作業は11月末までの予定。

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