洋室にも手軽に置ける「畳」 新開発で売り上げ3倍に 「斜陽産業の概念打破を」

2019.12.27
ニュース丹波市地域

起死回生の商品となった「フロアtatami」=2019年12月18日午後5時3分、兵庫県丹波市山南町和田で

兵庫県丹波市で畳卸や畳通販などを手掛ける株式会社「横谷」(香良昌宏代表取締役)が、洋室にも手軽に置ける薄くて軽量な置き畳「フロアtatami」を開発。インターネットを活用してオーダーメード販売を展開し、「多品種少量かつ即納」という課題を、最新設備の導入にした自社製造で克服し、売り上げは5年前と比較して3倍にまで伸びた。実績が認められ、県地域支援金融会議主催の「ひょうご信用創生アワード」の「成長部門」で、兵庫・丹波地域初の最優秀事例を受賞した。

アワードは、同会議に参加する県内の金融機関など約40団体から、中小企業などに対する金融・経営支援を通して、事業の新規性や独自性の創造、事業再生、経営改善、業績アップを遂げた事例を▽創業▽成長▽改善―の3部門に分けて募集するもので、今回で3年目。今年度は45事例の応募があり、部門ごとに最優秀事例を選んだ。

同社を支援した中兵庫信用金庫谷川支店は、5年前、代替わりのあった同社に、融資をはじめ、販路拡大策やビジネスマッチング、業務改善策などの提案を行ってきた。支援前の同社は、畳店への卸業をメーンに営んでいたが、ライフスタイルや住環境の変化で和室は減少。それに伴い、畳の需要は減少の一途をたどっていた。

香良代表取締役(44)は、「『和室は時代遅れのもの』『畳は古臭い』という斜陽産業の固定観念を打破したい」と奮起。金融機関や商工会、税理士らのアドバイスや支援を受けながら積極的に経営課題に取り組んだ。

その成果として、「フロアtatami」などを開発し、売上増を達成。来年開幕の東京五輪のホテル建設ラッシュに伴う需要も、例年の売上を1割強、底上げしているという。

香良代表取締役は、「支援や協力のおかげで、ようやくその成果が見えてきた。これからが勝負」と気持ちを引き締め、「置き畳の販売量日本一を目指し、丹波市を畳の産地にして地域活性化に貢献できたら。ニュージーランドから引き合いもある。海外販路も視野に入れ、事業展開していく」と力を込める。

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