「好きなことに夢中に」 陸上元五輪代表の江里口さん 児童前に思い語る

2019.12.04
ニュース丹波篠山市地域地域

児童と一緒に”かけっこ”を楽しむ江里口さん(中央)=兵庫県丹波篠山市東浜谷で

陸上短距離の元五輪代表、江里口匡史さん(30)がこのほど、兵庫県丹波篠山市にある岡野小学校を訪問。全校児童163人とふれあったり、自身の経験を語るなどした。グラウンドで実際に走りを披露する場面もあり、児童たちは、「速い!」「すごい!」と大歓声。本物のアスリートの力を体感していた。

文科省のオリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業として実施された。

熊本県出身の江里口さんは、日本選手権で4年連続1位に輝いた。100メートルの自己ベストは10秒07で、2012年には日本代表としてロンドン五輪で100メートルと4×100メートルリレーに出場した。

100メートルでは予選落ちとなったが、第2走者を務めたリレーでは4位入賞(当時は5位。のちに上位国のドーピングが発覚し繰り上げ)を果たした。

児童を前にした江里口さんは、小学校時代のエピソードを披露。1―3年は何も習わず、4―6年で学校の陸上クラブに所属したものの、本格的に走り方を学んだわけではなかったそう。ただ、「かけっこが大好きで、鬼ごっこや缶蹴り、けいどろなどをやっていた」という。

校内では一番足が速かったため、中学では陸上部に所属。転機になったのは2003年で、世界陸上をテレビで観戦し、末續慎吾選手が3位入賞を果たすシーンを見て感動し、「『走ることが好き』から、『速くなりたい』『日本代表になっていたい』に変わった」と語った。

陸上の第一線で活躍し、オリンピックにも出場したが、「メダルを獲る」「9秒台を出す」という目標はかなわず、けがもあって昨年、引退。「目標が達成できなかったことは今も悔しい」と振り返った。

そのうえで、陸上をやってきてよかったこととして、人としての成長や人とのつながり、挑戦することの楽しさをあげ、「みんなも何か一つでいいので好きなことを探して夢中になって。その時が一番成長できる」と呼びかけた。

同校の女子児童は、「テレビでは伝わらない速さを実感した。自分たちも今、好きなことがある。江里口さんのようにがんばってすごい人になりたいと思った」と話していた。

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