これで子牛も「ぬくぬく」 寒さ対策で専用マフラー開発 作業服店ら死亡率減少に挑戦

2019.12.01
ニュース丹波市地域地域

「ぬっくモーる」を付け、暖かそうな子牛

子牛も安心、あったかマフラー―。兵庫県丹波市春日町の作業服小売店「オオツキ」が、子牛用の電熱線入りマフラーを開発し、販売している。昨年6月、耐寒用のベストを売り込んだ北海道の畜産農家から「人間の耐寒グッズはいらない。子牛のマフラーを作れないか」と提案を受けたのがきっかけ。寒さが原因で体調不良を起こし、死んでしまう子牛が少なくないそうで、畜産農家から「いいものを作ってくれた」との評価を得ているという。

充電式で洗濯可能、子牛も自由に動ける

大阪府八尾市のクマガイ電工と共に開発に着手、北海道や兵庫県北部の但馬地方の畜産農家15軒にモニターになってもらい、試作・改良を重ね、このほど完成した。

商品名は「ぬっくモーる」。11×70センチの大きさで、マフラーに取り付けたポケットに充電式のバッテリーを差し込む。温度は、弱・中・強の3段階があり、外気温の変化などに合わせて調節できる。開発にあたっては、低温やけどをしないように温度を調整したという。マフラーをつけても子牛は自由に動き回れる。材質はポリエステルなどで、洗濯もできる。

オオツキが共同開発し販売している子牛用のマフラーと大槻恵美さん=兵庫県丹波市春日町新才で

子牛のマフラーを提案してくれた農家は、農機具関係の社員らと共に子牛の熱中症対策としてマフラー様のグッズができないかと検討していたという。そこへオオツキ取締役の大槻恵美さんがたまたまベストのセールスに飛び込み、暑さ対策から寒さ対策のグッズに切り替わった。

子牛の死亡率は5%といわれる。生まれてまもなく死ぬことが多く、寒さも原因の一つ。毛糸のマフラーなどをつける農家もあるが、毛糸では凍結の恐れがあり、寒さ対策が課題になっていたという。商品の完成を受け、北海道から鹿児島県まで全国各地で営業を展開している。

牛の知識がないため、牧場で仕事体験もしたという大槻さん。「人との縁から生まれた商品。子牛の死亡率が少しでも減少すればうれしい」と話している。

関連記事