3472万円返還求め提訴へ 災害復旧補助金を不正受給 市が首謀男性を相手取り

2020.01.23
ニュース丹波市事件地域

平成26年に兵庫県丹波市で甚大な被害が発生した豪雨災害の復旧工事にかかる補助金の不正受給のうち、鳥獣害防護柵関連事業について、同市は、補助金を申請する際に領収書を偽造するなどして過大に補助金を受給するなど不正を首謀した地元の男性を相手に約3472万円(年5%の損害遅延金含む)の損害賠償を求め提訴する方針を示した。24日の市議会臨時会で関連議案を提案し、可決されれば速やかに訴訟手続きに入る。

見積書改ざんや領収書偽造し不正働く

損害賠償請求額のイメージ

同災害は、平成26年8月16―17日にかけて発生。多いところで、1時間に91ミリ、降り始めからの累加雨量が419ミリを記録した。同市市島町前山地区を中心に山崩れなどを引き起こし、尊い1人の命が奪われた。

復旧工事における市の補助金受給については、男性は業者の見積書を改ざんしたり、領収書を偽造するなどの手口で、市に補助金を過大に交付させ、本来、地元が負うべき負担をしていなかった。

提訴の対象事業は、地元の2団体の名義で申請された計8件。市が、男性の申請通りに交付した補助金額は約1億5400万円。出来高に基づき市が改めて査定した補助金額は約1億1100万円で、市はこの差額約4291万円を市の損害額とした。事業8件のうち、補助率が85%の事業が2件あり、地元が負担すべき金額は計約819万円。市の損害額から地元負担金を差し引いた金額を男性に返還請求する。地元負担金についても、市は地元団体に返還を求めており、協議が続いている。

市は申請時、担当した農業振興課に技術担当の常勤職員がおらず、男性が添付した見積もり書通りの金額を満額補助金として支払った経緯がある。市は「市としても十分な査定ができていなかった」とし、「市民を訴えることは究極の選択だが、不法行為については毅然と対応する」と話している。

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