シンガーソングライターの石田裕之さん(神戸市)がこのほど、兵庫県丹波篠山市の城南小学校を訪れ、児童や保護者ら約200人を前に歌を交えながら防災を考える公演を行った。防災士でもある石田さんは、各地の災害や防災対策を紹介。「家族や友だちを大切にして。そして、地域の人にあいさつを。それがいざという時、命を守ることにつながる」と呼びかけた。
阪神・淡路大震災で自らも被災した石田さんは、地域の人や全国各地からの支援に「恩返しがしたい」と、防災啓発や被災地支援活動に取り組んでいる。これまで100回以上、東日本大震災や熊本地震などの被災地に足を運び、歌を通して地元の人々と交流してきた。
自身が子どものとき、阪神・淡路の街頭募金をした際に、「ありがとう。おっちゃん、元気が出たわ」と言われたエピソードを踏まえ、児童たちに、「子どもにはすごい力がある。がんばることでみんなにも笑顔の連鎖を起こすことができる」と呼びかけ、被災地で生まれた「しあわせ運べるように」を歌った。
また、東北に伝わる教え「つなみてんでんこ」(津波の時にはてんでばらばらに逃げろ)を紹介。「たくさんの人が家族を確認しようと家に戻って波にのまれた。とにかくまずは自分で命を守って」と訴え、「南海トラフ地震はみんなが生きている間に必ず来る。丹波篠山に津波は来ないけれど、旅先や買い物中に遭うかもしれない。家族で防災会議を開き、集合場所を確認して。そして、この話を家族や周りの人に伝えて」と語りかけた。
ほかにも被災地で頻繁に歌われた「上を向いて歩こう」や、学生とともに作り、楽しみながら防災の要素をちりばめた「ぼうさいジャンケンポン」を披露。児童たちも一緒になって歌い、防災がテーマの公演ながら、会場には笑顔の輪が広がっていた。