若い教師へ101の提言 「子どもに敬意を」「教育は性善説」 59歳教諭が本発行

2020.02.09
ニュース丹波篠山市地域地域

「教師生活の集大成」になったという自費出版の本を手にする東浦教諭=2020年1月23日午後6時23分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県丹波篠山市にある篠山東中学校の東浦一裕教諭(59)が、「『子ども』を『人』に育てる」と題した本を発行した。37年間、中学校教諭として子どもにかかわってきた体験を基に、「学校教育が難しくなっている今、若い教師らへのヒントになれば」と、教育者への提言をまとめたもの。▽「教育」とは▽これからの「教育者」へ▽教育者の錯覚▽教育者の働き方―の4章に分けて、101項目の提言を投げかけている。

主に丹波篠山市内の中学校に勤務し、保健体育を担当。長年、陸上競技部の顧問を務めている。

若い中学校教師から悩みを聞き、話し合うなかで「本にしたらどうですか」と言われたのが執筆のきっかけで、2年かけてまとめあげた。「執筆を通して自分の考えが整理され、考察も深まり、自分にとってもいい勉強になった」という。

「『やり方』ではなく『向き合い方』を教える」という提言の項目では、顧問を務める陸上競技部で生徒に教えているのは、技術ではなく、陸上競技にどう向き合うかだとして、生徒が直面した課題や問題に「どう向き合うのか」を生徒と共に考えるのが教育の原点だと説いている。

「『敬意』は『敬意』を持ってのみ払われる」の提言では、子どもに対して敬意を払えば、子どももおそらく教育者に敬意を払うとし、子どもの可能性に対する尊敬や、「より良い教育がさせてもらえる」という感謝の念を子どもに対して持ち、教育すべきとする。

「良き教育者とは『子ども』の責任にしない」の提言では、「子どもが悪い」と、子どものせいにするのではなく、「なぜ悪いことをするんだ」と考えることが大切であり、「教育者とは、すべての子どもに対して成長を見守ることが基本」と説く。

このほか、「理屈より感性を磨け」「教育は『性善説』が基本」「待つ姿勢を極める」「自分の都合で『子ども』を見るな」などの提言がある。

東浦教諭は、「学校の先生だけでなく、スポーツや文化活動などの各分野で子どもの指導にあたっている人に読んでもらえれば」と話している。

1冊1300円。202ページ。購入については、東浦教諭に直接か、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムの東浦一裕から検索を。

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