兵庫県丹波市山南町の常勝寺で11日、「鬼こそ」の名で知られる厄払いの伝統行事「追儺式」が営まれた。鉦や太鼓がけたたましく鳴り響くなか、縄で縛られた体に、長い髪、飛び出した目、大きな口をした赤鬼と青鬼4匹が登場。矛や太刀、火のついた松明などを持ち、本堂の回廊を練り歩いて、ユーモラスな所作で参拝者の厄をはらって回った。最後にご利益があるとされる松明を参拝の群衆に投げ入れると、参拝者らは縁起物にあやかろうと、こぞって取り合った。
同寺の開祖、法道仙人が鬼を改心させたという言い伝えにちなんだ約600年前から続く鬼追いの儀式で、保存会が継承している。
僧侶たちが無病息災や五穀豊穣を祈願する法要を行った後、ほら貝の音を合図に法道仙人と鬼が現れた。鬼は風貌こそ恐ろしいが、人間の味方。仙人役の小学生に先導され、鬼役の保存会員4人が、厄除息災などを祈ってのっしのっしと力強い足取りで本堂の周りを一周した。
鬼面は現在3代目で、初代の2つの面と、2代目の5つ面(法道仙人含む)は、同市指定民俗文化財。