男性が川に違法植樹や盛り土 県が除去工事スタート 住民「『触らぬ神に』ようやく」

2020.02.19
ニュース丹波篠山市事件地域地域

雑草の除去が始まった黒岡川=兵庫県丹波篠山市黒岡で

兵庫県丹波篠山市の中心市街地を流れる一級河川「黒岡川」の隣接地に住む70歳代の男性が、約20年前から無断で河川内に木を植えるなどの違法行為をしており、河川環境が著しく悪化している問題で19日朝、県が樹木や雑草を除去する工事に着手した。

男性は1998年ごろから樹木を植えているほか、河川に重機を下ろして掘削したり、土を盛るなどしてきた。県丹波土木事務所によると、河川管理者である県の許可を一切得ておらず、河川法違反の状態。茂った樹木や土砂などの影響で流下能力は40%ほど低下しているという。

県はこれまでにも男性に対して対処を求めてきたが、「地球温暖化を防いでいる」などと言い、応じてこなかった。

男性が無断で植えた樹木などが生い茂る河川=兵庫県丹波篠山市内で

洪水の危険性が高まっており、地元の自治会長会が河川改修の要望書を県丹波県民局に提出。同事務所が治水上、問題が生じていることを調査で確認し、防災や減災を目的にした緊急対策として工事を決定していた。

工事初日には業者や県職員など約30人が参加。男性が盛ったとみられる土の上に繁茂している草を除去していった。

近隣に住む住民は、「毎年、夏になると盛り土のところに生える草を刈るのが大変だった」と言い、「以前から誰もが問題視していたが、誰も『触らぬ神に祟りなし』で手を出せなかった。ようやく工事が始まり、ひと安心」と話していた。

県は約2カ月をかけて高さ3メートル以上の高木約50本をはじめ、約5000平方メートルで樹木を伐採するほか、河川内に堆積している土砂も今年11月以降に撤去する。費用は約600万円を想定している。

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