「ジジババは大変ですわ」 休校受けて都市部の子、地方へ続々 「1人で過ごすのは無理」

2020.03.10
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新型コロナウイルスの拡大によって、親と離れて祖父母の家で暮らす子どもたち=2020年3月4日午前11時11分、兵庫県丹波篠山市内で

新型コロナウイルスの拡大を受け、学校や幼稚園などが休校・休園となる中、都市部で暮らす共働き世帯が、地方の実家に子どもを預けるケースが増えている。受け入れ側の祖父母らは、「長い間、面倒を見ないといけないので、ジジババは大変ですわ」と苦笑いを浮かべている。

 兵庫県丹波篠山市内のある家庭には大阪府堺市から小学2年生の長女と1年生の長男が13日までの予定で身を寄せる。両親と離れた生活だが、これまでにも夏休みなどには泊まりに来ていることから慣れており、2人は、「楽しい」と話す。
 70歳代の祖父と60歳代の祖母によると、両親が共働きな上、2人が通う小学校は児童クラブが開所しなかったことや、放課後に通っていた塾やピアノ教室なども中止となったため、3月1日夜に車で孫たちを迎えに行った。
 母親の友人で都市部に実家がある人から、「どうしても無理になったら、自分の子どもも預かってもらえないか」と、お願いされたこともあったという。
 孫たちは昼頃まで宿題をし、その後は近所を散歩するなどして過ごしているが、祖父は、「孫たちもそのうち堪能(方言で「飽きる」の意味)するし、雨が降れば外に出られなくて気晴らしができず、家の中でほたえる(騒ぐ)」と苦笑。「休校はコロナウイルスが発生している自治体で、もっと早くにするべきだったと思う。国会を見ていても、安倍首相もどうかと思うが、ほかの議員も足を引っ張り合っている。今回の件でますます政治離れが進むと思う」と漏らした。
 同県丹波市春日町の60歳代の夫婦は、2日から神戸市で暮らす小学1年の孫娘を預かっている。近くに住む孫4人を含め計5人が休校中。子どもたちは祖父母宅と自宅といとこ宅を行き来しながら過ごしている。
 女児の両親は神戸市で仕事を続けており、最後の登校日の2日の夜に春日に送り届けに来た。
 都会の1人っ子。祖父母は、「神戸で1人で過ごすのは無理。いとこの年の近いお姉ちゃんが遊んでくれるので、親と離れてもひどく寂しがっているようには見えない。とりあえず1週間頼まれたが、先行きが分からないので、延長もあるだろう。孫は来て良し、帰って良しだなあ」と笑っている。
 大阪市から丹波市青垣町の実家に身を寄せる母親(39)は、幼稚園の休園が決まった直後に、10カ月、1歳、4歳の3人の娘を連れ、実家に戻った。「大阪よりずっと安全」と話す。
 団地住まい。「外出もできず、1日中騒いでいたら階下の住人に迷惑をかける。子どもも時間を持て余す」と、即帰省を決めた。京阪神を電車移動する営業職の夫(40)と子どもを離した方が安全とも考えた。
 大阪市は16日から幼稚園を再開する予定。「一度大阪に戻ると、ウイルスを持ち込みかねないので、青垣には戻れないと思う。戻る時期はよく考えたい」と悩む。

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