フェイスシールド作って寄贈 障がい者事業所が医療機関に 「できることで役立ちたい」

2020.05.24
ニュース

手慣れた様子でフェイスシールドの製作作業に励む利用者たち=2020年5月1日午後4時48分、兵庫県丹波篠山市大沢で

Cielo株式会社(堀北晶子代表)が運営する障がい者就労継続支援A型事業所「ワークスペースSora」(兵庫県丹波篠山市大沢)の利用者が、飛沫感染予防のために使われるフェイスシールドの製作に励んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「自分たちにできることをしたい」と始めた。製作したフェイスシールドは、済生会兵庫県病院(神戸市)や十三市民病院(大阪市)など、県内外の複数の医療施設に寄贈した。

 同事業所は、障がい者と雇用契約を結んだ上で、県の最低賃金が保証される市内で唯一の施設。昨年2月に開所し、現在、市内外に住む10―60歳代までの29人が利用者登録している。企業などから委託を受けた、箱折りや釣り具の組み立てなどの軽作業が中心。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、受託していた企業が次々と休業し、事業所内でできる作業が減少。作業はなくても事業所は空けなくてはならない状況の中、利用者らが今できることを考え、「最前線で働く医療関係者たちのため、自分たちのできる範囲内で何か役に立つことをしたい」と製作を始めた。
 新型コロナウイルスの感染防止を考慮した時短勤務ながら、今月14日時点で約500個が完成。医療施設に寄贈を提案する、電話での”営業活動”も利用者自身で行った。
 作業は、フェイスシールドにするクリアファイルの裁断や、ゴムを通すための穴開けなど、利用者の得意な能力に応じて役割を分担。すっかり手慣れた様子で作業をこなしており、堀北代表は「納期は言わず、『急がなくていい』とは伝えているけれど、みんな手が早くて丁寧」と目を見張る。
 作業のリーダーを務める男性は「厳しい状況だけれど、与えられたことを一つひとつこなしていくことで必ず前に進めるはず。そんな思いで仕事をしている」と力強く話していた。

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