「野良猫」→「地域猫」に 不妊手術し住民と共存 一代限りの命を見守る

2020.05.15
ニュース丹波市地域地域

自治会の役員たちと捨て猫禁止を訴えるNPOたんばコミュニティハブの岩間理事長=2020年4月29日午前9時46分、兵庫県丹波市柏原町上小倉で

繁殖をしないよう去勢・不妊手術した飼い主がいない猫と、地域住民との共生をはかる「地域猫活動」を啓発、実践するNPO法人「たんばコミュニティハブ」が兵庫県丹波市で発足した。手術した猫を自治会や有志で管理することで、野良猫に関する苦情や殺処分を減らす活動。「人も猫も日本一幸せなまち丹波市」を目指す。

野良猫に悩む自治会や個人から相談を受け、地域猫活動の進め方の助言や住民合意形成をサポートする。

「野良猫」の「地域猫化」をはかるため、同NPOが野良猫を捕獲し、不妊手術を施し、地域へ帰す。猫への餌やりや、トイレ清掃などを地域住民が担い、当該猫が一代限りの命を全うできるようにする。

最初の活動場所が、同市柏原町上小倉(竹内敏明自治会長、82戸)。峠に近く、捨て猫に悩まされてきた同自治会の苅野田地区で11匹を捕獲。手術の後、5匹は新しい飼い主を見つけ、5匹は同NPOの岩間里美理事長(48)が自宅で飼育中。現在、同地域には手術済みの「地域猫」のメス1匹と、捕獲に至らず、手術ができていないオス2匹がいる。「地域猫」への餌やりと、捕獲に向けた野良猫の観察は岩間さんが担っている。

メス猫が外部から持ち込まれなければ繁殖しない状態になったことから、4月末に自治会役員、住民と共に「捨て猫禁止」の看板を設置した。同地区の常岡啓治さん(71)は「繁殖期になると5匹、6匹と一度に増える。保護してもらって数が減ったので、これ以上増えないのが一番いい」と話していた。

岩間さんは、ネコ好きが高じ、柏原町崇広小学校区で地域猫活動を展開する「OneforMee@丹波」に参加。活動を通し、問題の大きさと、個人で取り組むことの限界に気付き、市内全域に活動を広げるためにNPOを立ち上げ、4月末に兵庫県の認証を受けた。

岩間さんは、「殺処分される猫を減らしたい思いと、野良猫に餌をやる人がトラブルに巻き込まれるのを減らしたい両方の思い。適切に管理し、共存していくお手伝いができれば」と話している。

同NPOは、丹波市の活動団体に登録。不妊、去勢手術費用の2分の1(上限1万円)は補助金が交付される。手術は獣医師に依頼。善意の寄付がなければ、メスで約2万円、オスで6000円以上が同NPOの持ち出しになる。保護した猫の餌代や薬代などもかかる。費用を工面するため、NPOの収益事業として音響事業などを手掛ける。

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