伝統の「デカンショ祭」中止決定 県内最大、日本遺産認定の祭典 新型コロナ受け「なんらか別のPRを」

2020.05.29
ニュース丹波篠山市地域

昨年の「丹波篠山デカンショ祭」の様子=2019年8月16日午後7時36分、兵庫県丹波篠山市北新町で

毎年8月15、16日に兵庫県丹波篠山市の篠山城跡三の丸広場で開かれている「丹波篠山デカンショ祭」について、市や商工会などでつくる同祭振興会は28日、臨時総会を開き、新型コロナウイルスの影響を受けて今年度の開催を中止することを決定した。委員らは、「歌って踊ってがあってこそのデカンショ。(感染防止のため)それができないならば意味がない」などとした。今年で68回目を予定していた。

デカンショ祭は、例年、2日間合わせて7万人以上が来場する県内最大の民謡と盆踊りの祭典で、「デカンショ、デカンショで半年暮らす」の歌詞で知られる伝統の「デカンショ節」に乗せた総踊りが特徴。デカンショ節に歌われる同市は2015年に文化庁の日本遺産にも認定されている。

長い歴史の中で、台風や大雨などを受けて2日のうち1日が中止になったことなどはあったものの、両日とも取りやめるのは初めて。

総会で圓増亮介・市商工会長は、「例年、協賛金を頂いている企業のほとんどがコロナで打撃を受けている。露天商を集めるのも危険で、夜店はできない」としたほか、「長年、祭りに関わっている身として、2メートルの間隔を取って踊ったり、声も出せないのはデカンショではない」とした。

また、委員からも、「丹波篠山を代表する行事としてなんとか実現したいが、完全にウイルス対策を完成させたスタイルでないとやってはいけない」「オリンピックや高校野球、祇園祭などが中止になる中、デカンショ祭を開催することは困難」などの意見が出された。

酒井隆明市長は、「今までの祭りはコロナ社会の祭りではないため、中止はやむを得ない」とし、「祭りは中止するが、インターネットなどを活用し、なんらか丹波篠山市やデカンショをPRする方法を考えていきたい」と話した。

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