「真っすぐを極める」 プロ注目右腕、明石商業の中森君 練習再開で熱いピッチング 休校中は兄の歌聞き

2020.06.23
ニュース地域

約50人の報道陣を前に、取材に応じる中森君=2020年6月15日午後3時47分、兵庫県明石市で

兵庫県丹波篠山市立篠山東中学校出身で、プロ注目右腕の中森俊介君(3年)が所属する明石商業高校が今月15日から、約2カ月ぶりに全体練習を再開した。約50人の報道陣が詰めかけ、プロ2球団のスカウトが熱視線を送る中、中森君はキャッチボールやピッチング練習などで汗を流した。7月には県の代替大会が、8月には今春、中止になった「センバツ」に出場予定だった高校が相まみえる「交流試合」が開催される。中森君に今の心境や、これからの意気込みなどについて聞いた。

 ―全体練習が再開した
 2カ月間のブランクがあるので、それを取り戻して、さらにレベルアップできるよう、意識を高く持って練習していきたいと思っています。
 ―甲子園大会と、夏の県予選の中止が決まったときの心境は
 4月の段階ではまだ(開催の可能性を)諦めていませんでしたが、5月になって休校期間が延び、「もしかしたら大会がなくなるかもしれない」と思い始めました。「中止」と聞いた瞬間は実感が湧かなかったです。センバツも、この夏の大会もなくなり、悔しい思いはありましたが、心の準備はできていました。
 ―来月には県の代替大会が、8月にはセンバツの代替試合の開催が決まった
 最後の夏は正直、諦めかけていたけれど、また夏に試合ができる。今まで支えてもらった方たちのおかげで今があると思うので、恩返しするためにも、”明商”らしく最後までやりたいです。
 ―目標は 
 監督から「お前は完封したことがない」とよく言われるので、1試合でも多く完封したい。昨秋の県大会では決勝で負けてしまったので、最後は勝って高校野球を終えたいです。

狭間善徳監督が見つめる中、熱のこもった投球を披露する中森君

―休校期間はどう過ごしていたか

 実家に帰って練習をしていました。チーム内で10人ほどのグループに分かれて連絡を取り、各自で競い合って練習に取り組んでいました。家では、兄と過ごす時間が多く、キャッチボールなどの練習によく付き合ってもらいました。歌が好きな兄の歌声を聞いて、楽しい時間を過ごせていました。「WANDS」とか、90年代の曲をよく歌ってくれます。
 ―どんな練習を重点的に取り組んでいたか
 「真っすぐを極める」ことをテーマに、練習に取り組んでいました。前よりもストレートの球威は増していると思います。リリースの瞬間だけに力を加えることができるよう、「YouTube」で前田健太投手(現ツインズ、元広島カープ)の動画を見ながら研究しました。動画の中で前田投手が「フルカウントのときはあえて力を抜いて打たせにいくと、思った以上のボールがいく」と言っていたので、それを試してみると、良い感覚でした。
 ―休校期間中のコンディションの変化は
 一度、体重を増やしてからの方が体を大きくしやすいと思ったので、体重を増やしました。3月は83キロだったのが、5月末には91キロになり、今は絞って88キロです。食事の回数を1日6回に増やし、たんぱく質を取るために、ささみを多いときには4食ぐらい食べていました。夜はお父さんが手料理をよく作ってくれました。
 ―今後の進路についての考えは
 もちろんプロでやりたい気持ちは強いですが、去年の秋から実戦をこなせていないので、交流試合や県大会で自分の力を確かめた上で、監督や両親と話し合って決めたいと思っています。
 ―地元住民らから横断幕をもらった
 うれしかったです。実家の渡り廊下の壁に飾ってあります。
 ―故郷の人たちへメッセージを
 甲子園に出る際には、寄付金を出してくださった方がいたり、市長も甲子園まで観に来てくださったりした。そういった地元の方々の支えに感謝の気持ちを持って、最後までプレーします。
中森俊介(なかもり・しゅんすけ)右投げ、左打ち。182センチ、88キロ。小学校時代に地元の「多紀野球少年団」に入団。篠山東中学校では軟式野球部に所属し、3年夏からは硬式野球チーム「三田ボーイズ」でもプレー。明石商業進学後は、1年夏からベンチ入りを果たし、3季連続で甲子園の土を踏んだ。昨年の春夏はエースとして、チームを全国ベスト4に導いた。ストレートの最速は151キロ。球種はスライダー、カーブ、スプリット、チェンジアップ。

関連記事