農家の重労働「草刈り」 ”ラジコン”で解決できる? 「おもしろい」「楽」も「高い」

2020.07.16
地域

ラジコン草刈り機の操作を体験する組合員ら=2020年7月11日午後1時、兵庫県丹波篠山市山田で

兵庫県丹波篠山市山田地区の山田営農組合(細山優組合長、16人)が、県丹波県民局の協力を得て「ラジコン草刈り機」をレンタルし、性能や作業時間、身体的負担の減少などを検証した。農業をする上で大きな負担となっている「草刈り」。県の調査では農業時間の3割を占めるとするデータもあり、農業人口の高齢化で負担はさらに重くのしかかっている。県が進めるAI(人工知能)やICT(情報通信技術)、ドローンなど、最新技術を用いた「スマート農業」が農家の光になるか。

レンタルした草刈り機は海外製で、200メートル先からでも無線を使った遠隔操作ができる「spider ILD01」。底部にある刃で草を刈り、360度全方向に移動できる。平地だけでなく40度の斜面にも対応し、ウインチを使えば55度でも作業ができるという。

スマート農業の普及を進めている丹波県民局内の丹波農林振興事務所や丹波農業改良普及センター。これまでにもドローンを使った農薬散布などの技術実証を展開している。

農地ののり面や畦畔管理で行われる草刈りは、農地の機能維持や病害虫発生の低減に重要な役割を果たしているものの、とにかく重労働。そこでラジコン草刈り機の技術実証を企画し、名乗りを上げた同組合が1週間、実際に操作を体験することになった。計2基分のレンタル費用は県が負担した。

今月11日、組合員向けの講習会を開催。コントローラーを手に草刈り機を動かした組合員らは、「簡単に使えるわ」「結構きれいに刈れる」「うちのところもやっといてくれ」などと口々に話しながら作業を進め、機能を体感した。

ただ購入には1基約400万円かかり、今回レンタルした機器は大型のため、狭い畔では使用が難しいという課題も確認した。

同組合は、軽トラックに装着するタイプの草刈り機を導入するなど、特に草刈りの負担減に力を注ぎ、今後も継続して農業に取り組める体制づくりに努めている。

スマート農業の技術実証を知り、情報収集を兼ね、自分たちの地域で導入できるかどうかなどを確認しようと名乗りを上げた。

細山組合長は、「操作は面白いし、楽に仕事ができる。高齢化が進む中で力を発揮するかもしれない」としつつ、「導入するには高額だけど」と苦笑い。辻井昭文副組合長は、「今後、進化してさらに使いやすいものができるかも。若い世代にも『これならやってみよう』と思ってもらえるものが出てくることに期待したい」と話していた。

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