守護神は「牛神さん」 牛の健康祈る神社 丑年は”牛歩”で確実に

2021.01.08
ニュース丹波市地域地域歴史

「参拝時には、日ごろの健康に感謝し、コロナ厄疫削除を願ってください」と話す村山宮司=2020年12月24日午後3時53分、兵庫県丹波市春日町長王で

今年の干支は「丑」―。「牛神さん」として親しまれる兵庫県丹波市の舟城神社は、農業神としても知られる素戔嗚尊のほか、稲田姫命と天押雲命を祭る。かつて神社の鳥居前に牛市場があり、農耕用の牛を飼っていた農家らが牛を引き連れ、牛の健康を願って参拝し、にぎわったという。

舟城神社自体は1446年(文安3)の創建で、のちに境内に覚王寺が建てられた。現在ある大きな神殿は1749年(寛延2)、疫病退散を願って祇園牛頭(ごず)天王社として建てられ、素戔嗚尊と共に神仏習合の神「牛頭天王」を祭った。近隣の20カ村がお金を出し合い建立したもので、約2800人で山を切り開き、1500人で7年をかけ普請したという。

村山義人宮司(86)によると、一番下の鳥居から神殿へと続く石段の参道は広く、牛を連れて参拝していた名残という。かつては石ではなく丸太が渡してあり、牛の爪を傷めないよう配慮されていた。

江戸―明治期には、「富くじ」があり、子牛が当たった。1日に3万人が参拝したこともあったとされ、遠方から参拝して富くじに当たると、子牛を連れて帰れないため、神社が買い上げたこともあったという。

牛馬用と乳牛用の守り札などを扱っており、肉牛を飼育する人や酪農家らが参拝すると授与している。村山宮司によると、10年ほど前に牛を連れて参拝した人がいたという。「新型コロナが流行っているが、牛歩でゆっくり確実に歩き、難儀な時代を切り抜ける年になれば」と願っている。

関連記事