創業200年の灯消さない コロナで割烹から「うなぎ」へ 老舗料亭が業態変更

2021.05.11
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ひつまぶしの試作を前に、リニューアルに向け話し合う上田代表(右)ら=2021年4月27日午後5時24分、兵庫県丹波市春日町国領で

創業200年以上を誇る兵庫県丹波市の老舗料亭「割烹 辻判」(上田元志代表)が6月初旬から、これまでの懐石料理中心のメニューから、うな重やひつまぶしなど、国産ウナギの料理をメインに据えた業態に転換する。同店は新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けており、コロナ禍前より売り上げが90%ほど減少。一時は閉店も考えたが、「創業200年の灯を消してはならない」と声を上げた支援者のアドバイスもあり、代々受け継いできた秘伝の「たれ」を生かす。5代目で料理長を兼ねる上田代表(74)は「思い切った展開でコロナを乗り切りたい」と話している。

高級とされる三河産か浜名湖産のウナギを使用する予定。甘辛いたれを付け、炭火で焼く。値段は3000円からを想定している。冬はこれまでから人気のボタン鍋も提供する。完全予約制。

店舗内はコロナ対策を取り、大広間などを間仕切り計5部屋の個室として密を避ける。テークアウトにも対応する予定。

同店は江戸後期、料理旅館として開店。コロナ禍前は忘年会や新年会、歓送迎会、法事後の会食などで座敷が埋まっていたが、昨年2月以降は利用がなくなり、予約もキャンセルが相次いだ。女将の祥子さん(69)は、「店を畳むことを真剣に考えた」と振り返る。

若女将の裕美さん(45)が、アルバイト先の代表で、丹波地域をはじめとする飲食店の経営相談に乗ったり、新店舗をプロデュースしたりする活動をしている三澤孝夫さん(59)=市島製パン研究所経営=に窮状を吐露した。

辻判には秘伝のたれがあり、懐石に組み込まれたうな丼が好評だった。丹波市内にはウナギをメインに据えた店がないことから、同店の伝統の良さを生かすかたちで助言を受け、三澤さんを交えてリニューアルについて話を進めている。

現在、地元出身の墨象家・荻野丹雪さんが書いた看板を掲げているが、今回、新たに「うなぎ」の文字を書いてもらった。力になれればと、ウナギの炭焼き台を提供してくれた人もおり、“生まれ変わり”を後押し。上田代表は「割烹の文字がなくなるのは寂しさもあるが、うちの味を出していきたい」と話している。

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