「燃やす」?「プラ」? 記者宅ごみ袋で検証 11%のプラ混入「燃やしすぎ」が明らかに

2021.06.08
地域

市内で回収したプラごみに異物混入がないか調べる職員。同様の方法で点検した=2021年5月19日午前9時42分、兵庫県丹波市春日町野上野で

兵庫県内一高い丹波市のごみ袋代の値下げの第1弾として、プラスチック系ごみ袋代の値下げ議案が市議会に提案されている。市のねらいは燃やすごみの減量。プラごみ袋の値下げで、「燃やす」から「プラ」への分別を促し、可燃ごみ減量の呼び水にしたい考えだが、もくろみ通りにいくだろうか。そこで、わが家の家庭ごみを市クリーンセンターに持ち込み、職員に「燃やす」から「プラ」へ移行が可能か、調べてもらった。結果、袋に占める容積にして約3分の1、重量比で11%の「プラ」が混入していることが分かり、「燃やし過ぎている」ことを突き付けられた。

まずはプラごみ。回収したプラごみはセンターで袋を破り、手作業で混入した異物を取り除く。職員の男性(55)に調べてもらった。容器包装リサイクル法に該当するものか、そうでないかが分別の基本。「プラ」マークがあるものはプラごみだ。

45リットル袋の中で、「ダメ」を出されたのは、誤って混入した卵の殻が1つと、中にプラごみを包んだレジ袋くらい。「二重袋」はダメだった。

ボディーソープ、目薬と飲料の空き容器は中をきれいに洗っていて「良し」。心配していた「半額」シールが貼られた刺身のプラ系のふたも、はがさず出してOK。和泉さんの評価は「98点」。

続いて15リットル袋の燃やすごみ。収集後は直接、焼却炉に投入するため本来は袋を開けない。「これも、これもダメ」とどんどん分別され、ごみの山は、最終的に3分の1ほどのかさになった。「3分の1だから30点」と言われ、「こんなはずでは」と苦笑い。減点の原因は、プラごみと紙の混入だった。

古いコンデンスミルクを中身が入ったまま捨てていた。「プラって書いてあるでしょう」とマークを見せられた。中身が入ったまま「プラ」には出せず、中身ごと捨てるために「燃やす」を選んだ。「中身と包装はそれぞれ分別、と意識して」と注意を受けた。使い切れなかった物を処分するときは気をつけたい。

燃やすごみの再分別結果。手前が雑がみ、中央が燃やすごみ、奥がプラごみ。かさはそれぞれ3分の1ずつ

他に、納豆の容器、レトルトカレーの袋、袋ラーメンの液体スープの袋と、ことごとく「プラ」判定。納豆に至っては小さなタレの袋まで。目を凝らして見ると「プラ」の表示があり、参った。「プラ」だと意識したことがなかった。

納豆容器は汚れがひどい。「汚れがひどいものは燃やすのでは」と疑義を申し立てたが、「洗って簡単に汚れが落ちるものは、プラ」と論破された。

プラ以上にわが家で問題だったのが、紙類。仕事柄、紙を見ればどんどん手に取ってしまう。分別では「雑がみ」。以前は廃品回収に出していたが、コロナで機会が減った。

市環境課が「雑がみも拠点回収をしています。雨がかからない場所が用意できる自治会だけですが、記者さんの自治会はあります」と調べてくれた。「燃やす」「プラ」とは別の場所に出すことを恥ずかしながら初めて知った。

「初耳」と言うと、「周知不足の面はあります。現状、雑がみ回収は3カ月に1度ですし」と課題を認め、市で雑がみ回収の方法を検討していると話した。

雑がみに対応する古紙業者のコンテナボックスを利用する市民が多いようだが、市が「出口」を示すことは必要だ。

再分別後の「燃やすごみ」を計量した。プラごみが0・31キロ(中身が入ったままの食品が重かった)、雑がみが0・41キロ。純粋な燃やすごみは2・09キロと、全体で約25%減った。プラごみの影響は11%分だった。

2020年度、市全体で1万7084トンの総排出量を、26年度に1万4097トンへと18%減らす市の計画。わが家の場合、プラごみ分別の徹底と、雑がみ回収の仕組みを整えてもらえれば、達成できそうだ。

プラはかさばるものの、軽い。燃やすごみの総排出量削減への貢献は限定的だ。プラ以外で、燃やしているものを分別によって燃やさなくすることも重要だ。分別への意識をさらに高めたい。

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