「お姉ちゃんの恩返し」 伸ばした髪を寄付 小6「闘病中の人の支えに」

2021.07.24
地域

ヘアドネーションに協力した藤原帆さん。「誰かの役に立てるのがうれしい」とにっこり=2021年7月8日午後4時53分、兵庫県丹波篠山市西古佐で

兵庫県丹波篠山市の古市小学校6年生の藤原帆さんが、がんの治療やけがなどで髪を失った子どもたちに人毛のウィッグ(かつら)を寄付する取り組み「ヘアドネーション」に協力した。きっかけは、小児がんを発症した7つ上の姉が闘病中、ヘアドネーションでかつらの寄付を受けたこと。帆さんは「姉の恩返しに」と2年前から、規定の「31センチ以上」が取れる長さまで髪を伸ばしてきた。短いところで37センチ、長いところで47センチを切った帆さんは「どこかで病気と闘っている人の支えになれば」とほほ笑んでいる。

帆さんの姉は小学3年生(9歳)のときに小児がんを患い、抗がん剤治療の副作用で髪が抜けた。およそ半年間の入院生活を終え、退院するときにウィッグの寄付を受けた。当時は母の尚美さん(42)もヘアドネーションによる寄付だということは知らなかった。

髪を切る前の帆さん。長さが腰付近に届くまで伸ばした

尚美さんは「9歳でいろいろと気にしてしまう時期。ウィッグがあったおかげで学校に通いやすくなったと思う。退院した季節は夏だったので、暑い時期にニット帽を被らずに済んだ」と感謝する。そのウィッグは今も大切に自宅に保管してあるという。姉は今春から市内の食品工場で勤務しており、新たな一歩を踏み出している。

帆さんが小学4年生のとき、当時担任だった教諭がヘアドネーションで髪をばっさりと切ったことを聞き、「自分も協力したい」と、髪を伸ばし始めた。毎日、ヘアオイルをつけて髪を保湿したり、風呂上がりには30分以上かけてドライヤーを当てたりして、髪のケアには気を配ってきた。

帆さんはこのほど、ヘアドネーションの活動に賛同している「こつぎ美容室」でカット。自宅に持ち帰った髪は、日本でヘアドネーションを始めたNPO法人「JHD&C(ジャーダック)」(大阪市)に郵送する。

髪をショートにするのは幼稚園以来といい、「軽くなった」とほほ笑む。帆さんは「誰かの役に立てるのがうれしい。友だちにも教えてあげたい」と笑顔だった。

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