全国の遺族代表で追悼の辞 兵庫から52年ぶり 柿原さんの言葉全文

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全国の遺族を代表し、追悼の辞を述べた兵庫県遺族会長の柿原啓志さん

戦後76年となる終戦の日の15日、日本武道館(東京)で行われた「全国戦没者追悼式」(政府主催)で、兵庫県遺族会長、丹波市遺族会長を務める柿原啓志さん(85)=兵庫県丹波市春日町中山=が、全国の遺族を代表して、追悼の辞を述べた。

各都道府県の遺族会が順番に言葉を述べており、今年は52年ぶりに兵庫県が当番だった。

柿原さんは8歳の時、戦争で父を亡くした。読み上げた追悼の辞は自身で作成した。「英霊、戦争という感覚が薄れる中で、いつまでも顕彰する心を伝えていかなければならない、戦争をなくし、自分たちの仲間をつくってはいけない、という思いを強調した」と言う。

「丹波市、兵庫県の代表として緊張した」と振り返り、式典後には動画共有サイト「ユーチューブ」で自身が話す様子を確認。「天皇、皇后様も熱心に聞いておられた。あの場所で言葉を述べる機会を与えていただき、ありがたいこと」と話していた。

追悼の辞の全文は次のとおり。

顧みますと、先の大戦が終わりを告げてから76年という時を数えてまいりました。しかし私たち遺族が、国のために戦場に赴き、無念にも散華された戦没者の方々のことを忘れることはありません。歳月が過ぎ、時代の名前が変わり、多くの人々の心の中に、戦争というものへの意識が薄れゆく今日であっても、なお私たちは失った家族の、その面影を求め、思いをはせております。

戦後の苦しみの中にいた老いた父母、兄弟姉妹、幼子を抱えた戦没者の妻たちが、遺族会を結成致しました。そして、その悲しみを力に変え、日本の平和を、日本の繁栄を祈ってまいりました。

しかし、私たち遺族も時の流れと共に年老いてまいりました。これからの次世代の方々へと遺族の思いをつなげていくために、私たちは今一度、力を合わせて、平和の大切さを伝えようとしています。

今日の平和と繁栄は、尊い犠牲の上に築かれ、その犠牲として亡くなられた人々は、今の日本に暮らす人々と同じようにごく普通の生活を過ごしていた方たちであったことを、確かな人生がそのお一人お一人にあったことに、どうか気が付いていただきたいのです。そして、その方たちの命が無残にも途中で消えてしまった、国の礎となられたその方たちに感謝の心を寄せていただきたいのです。このことは決して忘れてはならない、とても大切なことなのです。

今は戦後生まれの方が8割以上にもなりました。追悼式や慰霊祭といった戦禍の記憶と教訓を伝えていく機会が少しずつ失われつつある今、本日のような厳粛な追悼式を挙行していただき、遺族を代表して厚くお礼を申し上げます。

全国の遺族が、この追悼式が行われている時に心静かに故人をしのび、冥福を祈り、当時のさまざまな出来事が脳裏に浮かび、胸に迫りくる思いに涙を流していることでしょう。私たち遺族は、平和の大切さを確かに次世代へと継承するためにこれからも一層努めてまいります。

終わりに臨み、ご英霊のご冥福と日本の平和を祈念して追悼の言葉と致します。

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