8月雨量観測史上2位 日照時間平年の6割 作物に悪影響

2021.09.08
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盆の長雨の後も時折降る雨。成長が止まった丹波大納言小豆=2021年9月3日午後1時22分、兵庫県丹波市内で

盆前後の長雨で、8月の兵庫県丹波市(柏原町・気象庁アメダス)の月降水量が平年値の2倍以上の381・5ミリを観測した。2014年の丹波市豪雨災害に次ぐ、8月の観測史上2番目の多さ。月の日照時間も112・1時間と、平年の約64%にとどまった。その影響が、農作物に出ている。丹波大納言小豆の成長が止まっているほか、盆前後の雨で畑のこしらえが遅れ、秋冬野菜の作付けの遅れが今後広がるとの見方がある。

平年値は、月雨量が169・2ミリ、月日照時間は175・4時間。

昨年は8月1カ月間で10・5ミリしか降らなかった。8月最多は、豪雨災害に見舞われた2014年の599ミリ。今年8月の日照時間112時間は、曇りが多い平年の12月と同程度で、異例の短さ。

県丹波農業改良普及センターの中前安生主任は、「極端な枯れや病気、虫はないが、全般的に悪い」と言う。丹波大納言小豆は、盆前後の長雨で地表近くに張った根が強い日照りにさらされ、土中の水分を吸えず、葉が焼け、生育が止まったほ場が見られるという。

小豆は、節々に花がつき実がなる。節が伸びないと花がつかず収量が減ることから、同センターは、根の働きを取り戻すため、土が乾いている間にうねの肩の表面を軽く中耕するよう呼び掛けている。

着莢時期を迎えた丹波黒大豆は、株の成長にはあまり影響は見られないものの、降雨による日照不足で、受粉不良を起こしている懸念があり、今後の調査が待たれる。

丹波栗は、梅雨明け後の水不足などの影響で、盆の長雨期間中に落果が目立ったが、現在は止まっている。米もいもち病が一時的に出たが、大きく広がることはなかったという。

畑が乾かず、大根の種まきや白菜の定植など、家庭菜園を含め畑仕事が後ろ倒しになっている。

紅葉シーズンの観光みやげ品として人気の、青垣特産「あざみ菜漬け」の原料のあざみ菜を栽培する「くまゆき農園」の足立浩一さん(同市青垣町大名草)は、8月中旬に予定していた最初の播種が8月31日になった。「収穫期間を長くするため、3回に分けて播種を予定していたが、1回目が飛んだ。秋植えのジャガイモもうねが立てられず、作付けを諦めた。雨が多いと作物の耐久性が落ち、病気に弱くなる。端境期ではあるけれど、野菜の直売所に並ぶ野菜も少ない。先に影響も出るけれど、今もすでに影響が出ている」と話す。

東兵庫魚菜(同市氷上町石生)の久下聖太社長は「キュウリが1キロ2000円でびっくりした。ナス、トマト、サニーレタス、レタスあたりも高い。産地が雨で被害を受けているので、安くならないだろう。稲刈りを片付けて秋冬野菜という人も多い。稲刈りが遅れているので野菜も遅れてくるだろう」と見ている。

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