校長認定で「出席」に フリースクールに通う子 学校休む「心の引っ掛かり」少なく

2021.10.13
地域

丹波篠山市教委から出席扱いとする認定を受けた「まめの木」と代表の西村さん=2021年9月24日午前10時12分、兵庫県丹波篠山市垂水で

兵庫県丹波篠山市教育委員会は、市内のフリースクール「まめの木」について、市内の小、中学校に登校せず、同スクールを利用している児童・生徒を、指導要録上、「出席扱い」にする施設として認定した。同スクールに通う児童・生徒か保護者が学校に申請し、学校長が認定する仕組み。同スクールは、「『学校を休んでいる』ことが、保護者や子どもたちの心の引っ掛かりになっているならば、出席扱いでそれを少なくできる。スクールを利用してもらうハードルも低くなるのでは」と期待している。丹波地域では初めての認定という。

保護者や児童・生徒が学校長に出席扱いの申請をすれば、学校長はスクールの活動記録のほか、随時、施設を視察するなどして認定。学校での生活状況を記す「出席簿」上は欠席だが、校長の責任で作成される記録「指導要録」には、「民間施設に〇日通所」と記録し、出席扱いとなる。

これまではフリースクールなどに通っていても出席簿・要録共に欠席となっていた。中学校では進学する際、指導要録などをもとに内申書が作成されるため、出席扱いによって進学先に与える印象も変わる。

同スクールの認定期間は今年4月1日から3年間。年度途中での認定のため、今年4月以降分についてはさかのぼって出席扱いとする。

市教委は今年3月に「不登校児童生徒を支援する民間施設に関するガイドライン」を策定。指導方法や相談体制、スタッフの配置、施設や設備などの基準を設け、同スクールが初の認定となった。

「まめの木」は、一般社団法人「カラフル・ビーンズ」が運営。代表理事の西村源さん(40)が自宅を改装し、2016年にオープンした。

現在、小学1―5年生までの約10人が利用している。「不登校」という言葉に付きまとう暗いイメージは全くなく、西村さんらが見守る中、子どもたちは笑顔で、自由に、のびのびと、さまざまな学びを楽しんでいる。教科の時間割がない代わりに、互いが不快に思わないよう、自分たちでさまざまなルールを話し合って決めているという。

西村さんは、「学校に順応できる子、できない子、無理して通っている子など、さまざまな子どもたちがいるし、市内にも学校に行きづらい子はいる。ただ、ここに来る子どもたちは明るく元気。『不登校救済』ではなく、こういう過ごし方もあると思ってもらえたら」とにっこり。認定には、「選択肢の一つとしてまめの木のことを知ってもらうきっかけになれば」と話す。

また、「ここで過ごして学校に戻ることを決めた子もおり、自分を見つめ直す場にしてくれたらうれしい。周りに流されずに自分で考え、『これだ』と思った道を進む人になってもらいたい」と期待している。

市教委は、「国の制度に沿い、多様な学びの在り方の一つとして認定した。今後も子どもたちの自立に向けた取り組みを行い、さまざまな学ぶ場を確保していきたい」とする。

市教委によると、市内の不登校の児童・生徒は、昨年度、小学校で17人(0・86%)、中学校で38人(4%)だった。

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