コロナ特例貸付多額に 困窮者の多さ反映 窓口現場にはジレンマも

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丹波市、丹波篠山市の新型コロナウイルス特例貸付の申請件数

新型コロナの影響で収入が減少した世帯を支援する国の特例貸付が、兵庫県丹波地域でも計3億円超と多額にのぼっている。丹波市、丹波篠山市の両社会福祉協議会で受け付けた申請件数(10月末現在)は、丹波市社協が603件、丹波篠山市社協が369件。貸付申請額はそれぞれ2億196万円、1億2405万円となっている。コロナの影響を受けた困窮者が多いことの表れと取れ、丹波市社協では食べ物を集めて寄付する「フードドライブ」などの活動にもつながっている。しかし、一方では本当に自立を支援する制度になっているのかと疑問視する現場の声もある。

コロナ特例貸付の説明チラシ

特例貸付は、“借りやすさ”と“スピード感”を重視した制度設計で、申請手続きが簡略化されている。基本は自己申告で、課税証明書や自営業の証明、給与明細がなくても申請できる。連帯保証人も必要ない。受け付けた書類は県社協に送り、1カ月程度で送金される。

丹波市社協の田邊和彦事務局次長は申請件数について「ものすごく多い」と受け止めている。外国人の申し込みも目立っているという。

同社協では、特例貸付を通じて、細やかな支援ができたケースがあった。失業した一人暮らしの60歳代の外国人から相談があり、窓口で対応した際に、「食べるものがない」と聞いていた。書類上の不備があったため、折り返し電話をしようとすると、解約されてしまっていてつながらない。職員が急きょ、食べ物を持参して訪ね、支援につなげることができた。今後も地域の社協支所で定期的に見守ってもらうことになったという。田邊次長は「条件が少ない特例貸付だったからこそ利用でき、困っている人を支援できた」と話す。

また、丹波篠山市社協地域福祉課の谷岡正淑さんは、「若い人や子育て世代の申し込みが多い印象」と話し、特例貸付がこれまでとは異なる層の支援につながっていることを感じている。

一方で、田邊次長は「本当に有効な支援策なのか」と疑問も抱いている。通常、社協で扱っている生活福祉資金は、相談者とよく話し合って、信頼を築きながら行うが、今回はそうした対応を取ることができていない。「深い話し合いをせずに借金を負わせることが、その人にとって一番良い方法なのかというジレンマがある。申し込みを機械的に処理するだけなら、社協を窓口にする意味があるのかと思う」

県社協が今年3月にまとめた「新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活福祉資金特例貸付レポート」からは、今回の特例貸付に伴う現場の混乱が見てとれる。

丹波市、丹波篠山市の新型コロナウイルス特例貸付の申請状況

特例貸付の意義として「いち早く支援を届けられた」「社協と接点のない世帯とつながった」という意見が多かった一方、「貸付が妥当でないと思われても貸し付けた」「ニーズの聞き取りが十分できなかった」などの意見が多く挙がった。

田邊次長は「貸し付けだけでは支援に限界がある。国には、給付や生活保護要件の緩和も考えてほしい」と力を込める。谷岡さんも「貸し付けだけで終わるのなら十分な支援とは言えない。コロナ禍の困窮者が多くいることが分かったので、積極的に関わっていきたい」と話した。

特例貸付の受け付けは昨年3月から始まった。期限は延長が繰り返され、現在は今月末までとなっているが、来年3月末まで延長される方向。

◆新型コロナウイルス特例貸付◆
1世帯当たりの上限が20万円で、1回のみ借りられる「緊急小口資金」と、同じ上限で3カ月借りられる「総合支援資金」の2種類があり、いずれも無利子。兵庫県では、まずは緊急小口資金を借りることになっている。総合支援資金の貸し付けは2回まで延長でき、両方で最大200万円まで借りられる。住民税非課税世帯は返済が免除される予定。国全体では貸付決定額が1兆円を超えている。

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