気候が変かも… 市が”非常事態宣言”へ 「丹波霧」減り農作物に影響も

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柏原気象観測所における平均気温の推移(1979―2020年)

「丹波霧のまち」の霧が晴れてしまう?―。兵庫県丹波篠山市は気候が非常事態だとして、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量実質ゼロを目指す「市気候非常事態宣言」を表明する方針を固めている。地球規模で進行している温暖化が非常事態の原因とし、市民からも「今年はやたら暑いなあ」「変な天気ばっかり」などという声も聞こえる。同市農村環境課によると、丹波地域においても平均気温が上昇傾向にある実態があり、災害発生リスクの上昇や特産物の収量減少など、身近に脅威をもたらす可能性があるという。

同課によると、同市に隣接する丹波市柏原町の柏原気象観測所における年間平均気温の推移は、過去40年の傾向では、寒暖を繰り返しながら1・74度も上昇している。

気温の上昇により、熱中症や雨量の増加による災害などさまざまなリスクが懸念されるが、盆地で昼夜の寒暖差が大きい内陸性気候による丹波篠山特有の「丹波霧」にも影響を及ぼしている。丹波霧は農作物に適度な水分を供給することなどから、黒大豆や山の芋などの特産を生み出す要因の一つとされる。

1年間の霧日数(豊岡特別地域気象観測所のデータ)

しかし、丹波篠山と似た気候の豊岡特別地域気象観測所(同県豊岡市)のデータによると、1931―89年では霧が年間平均123日発生していたものの、90年代以降、徐々に減少し、2015年には64日とほぼ半減した。

同課は、「観測所がないため、長期的な市内のデータがないのは残念だが、気温、霧のデータともに参考にすることができる。肌感覚でも気温は高めに、また霧は少なくなっているため、丹波篠山も同じ状態と考えられる」と言い、「気温の関係か、米も一等米は減少傾向。このまま気温の上昇が続けば、現在の収量や品質は維持できなくなる可能性が強い」と警鐘を鳴らす。

政府は2030年に温暖化の要因となっている温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減を表明。県は今年3月、30年度に35%削減を目標に掲げている。

これらを受け、市も気候非常事態宣言案の中で、市内の排出量を30年度に36・2%以上削減、50年度には実質ゼロ(総排出量から木の炭素貯留による吸収源を差し引いたもの)を目標に設定。今後の革新的な技術開発も期待しつつ、太陽光や木質バイオマスなど、二酸化炭素を発生させない再生可能エネルギーを活用し、省エネ機器の積極導入、エコカーの普及促進、農産物の地産地消を推進する。

また、ごみの収集や処分に多くのエネルギーを要し、二酸化炭素も発生することから、プラスチックごみの削減や雑がみ回収、生ごみのたい肥化の促進などに取り組む。

合わせて、排出削減の機運を高めるため、気候変動について学ぶ機会を創出し、排出量の多い産業部門や業務部門の事業者や団体と連携を強化し、効果的な削減に取り組む。

同課は、「魅力的なまちや特産物をつないでいくためにも、温暖化は決してひとごとではないと認識してもらえれば」と話している。

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