「使える体」維持を 認知症予防介入研究者が講演 生活習慣病管理と運動を

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最新の知見や研究の狙いを語る荒井理事長=2021年11月10日午後4時38分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

昨年秋から兵庫県丹波市を含む全国4カ所で行われている国内初の認知症予防の本格的多因子介入研究「J―MINT」の代表者で、国立長寿医療研究センターの荒井秀典理事長がこのほど、同市柏原町の柏原住民センターで講演した。市と神戸大学が開いている「頭と体のための健康教室」に参加している認知症予防プログラムの被験者ら100人以上が参加し、研究が目指すところや、最新の知見について話を聞いた。荒井理事長は「目、耳、口、手足、使える体を維持することが大事」と説き、「先進国では認知症の有病率が下がっており、日本も続きたい」と思いを語った。要旨を掲載する。

前臨床期から、軽度認知障害(MCI)、認知症へと進むことを説明した図

■認知症の予防
発症を止めることではなく、発症や進行を遅らせることだ。少し物忘れがする前臨床期から、軽度認知障害(MCI)、認知症と進む=左図。MCIから「前臨床期」には1―4割の人が戻れる。MCIの人のうち5―15%が認知症になる。治療ができる認知症もあるが、アルツハイマー型認知症になると、現在の医療では元に戻せない。認知障害があっても、日常生活が自立していれば、MCI。認知障害があり自立度が低下したのが認知症だ。

人口寄与割合は、例えば喫煙を例にとると、喫煙を取り除けば(たばこを吸わなければ)5・2%認知症が減るという意味。

■MCIから認知症への進行を予防する
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの管理、適度な運動を続けることが推奨される。

MCIから認知症への進行予防目的で、抗認知症薬を使用すべきとする十分な根拠は現時点ではない。わずかに認知機能を改善させる可能性がある。

認知症の危険因子=右表=は、中年期(45―65歳)では聴力障害、外傷性脳損傷、高血圧、アルコール過剰摂取、肥満。65歳以上では、喫煙、うつ、社会的孤立、身体的不活動、糖尿病。

■認知症予防に良いとされる運動、身体活動
医学的根拠をもって、有酸素運動、筋力トレーニング、太極拳は、良い。ちょっと汗ばむ運動を1日60分、週2―3回、半年以上続ける。1人では続けづらいので、仲間で取り組むのが良い。

歩く速度が遅くなると、MCIかもしれず、膝、腰の筋力が衰え、5―10年以内に認知機能の低下が顕著になる。膝や腰が痛い人は治療し、歩くスピードを維持することも認知症予防だ。

■肥満
65歳未満は良くないが、それ以上はぽっちゃりでも認知症リスクにはならない。75歳以上は、医者にOKをもらわない限りダイエットはしない。

■食事・低栄養
認知症予防に、野菜、果物、魚が注目されている。ココナッツミルク、魚の脂、豆製品、乳製品などだ。ビタミンB、C、Eは食品から接取することが大切で、サプリメントの大量摂取は注意。

毎日これを食べれば認知症にならないというものはない。多様な食品をよくかんで食べる。

■コグニサイズ
頭を使いながら運動する「コグニサイズ」は、運動で体の健康を促すと同時に、脳の活動を活発にする機会を増やし、認知症の発症を遅らすことが目的。

丹波市では神戸大学が開発したプログラム「コグニケア」を取り入れた「頭と体のための健康教室」が開かれている。昨年9月と今年6月の動画を見比べると、シャキシャキした動きになっている。体づくりを週1回するだけで、大きな効果が見て取れる。

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