「共感性」大切に 弁護士住田さん語る 人権のつどいで/兵庫・丹波市

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「共感性」を持つことの大切さを語る住田さん=2021年12月5日午後2時17分、兵庫県丹波市春日町黒井で

弁護士、住田裕子さん(70)=兵庫県加古川市出身=がこのほど、兵庫県丹波市の春日文化ホールで開かれた「丹の里人権のつどい」(丹波市、柏原人権擁護委員協議会、市人権・同和教育協議会など主催)で講演した。約350人の来場者に、「変革期の今、人・意識、どう変わる―心・生命を大切に」と題して、人の痛みが分かる「共感性」を持つことの大切さを語り掛けた。要旨は次のとおり。

昨年度、小中高生の自殺が過去最多だった。原因の半数以上は不明だが、理由が推定できるものとしては家庭の不和や、父母などからの叱責。両親がコロナ禍で生活がうまくいかなくて、互いの粗が見え、子どもの粗も見えて八つ当たり的な叱責もあったのではないか。

働く女性の自殺も増加。女性の働く場は接客業が多い。非正規雇用の人も多い。コロナ禍で真っ先に仕事が減るのがそういう女性たち。日本の女性の立場は先進国の中でも最下位で、世界でも下から数える方が早い。格差も拡大した。今回のコロナで日本の弱いところが露呈した。

働く場は集団の場。そこになじめるかなじめないかが大きな問題になってきた。昔は手に職を持ったらやっていける仕事がいっぱいあった。でも現在は組織に属さないといけない。組織の中でうまくやっていけない人が浮いてしまうような状況になってきた。ましてや最近はITなので、それを駆使できるかできないかで、良い仕事に就ける就けないという大変な時代になってきている。

自分に自信を持って生きているという自己肯定感は、社会に出ていくときに大きな推進力となる。

文科省が数年前、高校生を対象に、自分自身に満足しているかという自己肯定感を調査した。満足していると答えた人の割合は、韓国73・5%、アメリカ87%、イギリス80・1%、ドイツ81・8%、フランス85・8%。日本は半数にも満たない45・1%。「自分には何のとりえもない」「なんでもそこそこ」「自分自身こんなんでええのやろか」と思っているのが、次世代を担う日本の若者の姿。教育界の大きな課題になっている。

日本人の物差しとして、学力の高さに大きな価値観を持つ。私は勉強ができたからといって、社会で活躍できるとは思っていない。ノーベル賞受賞者など、成功する人は自分自身の能力を過信することなく、チーム力の中で一つの結果を出す。

社会で活躍するのに必要な能力は、やる気やチャレンジ精神だ。最初から逃げていたらものにならない。次に我慢、忍耐力。くじけない気持ち。そして謙虚さ。「自分はできるんだ」と思い込んでいる人は、いつか頭をたたかれてどこかで挫折する。人の気持ち、人の痛みが分かる共感性は、チームプレイでは絶対に大事。これが欠けたらチームリーダーは務まらないし、社会の中で活躍はできない。

社会の絆の中で、人と人とがつながるために大切な共感性。人が嫌がる姿を見て、「かわいそうだ」「そんなことはできない」という気持ちになる。この共感性は、共感性を持った人と交わることで育つ。共感性を持つ人に言葉や態度を示してもらうことによって伝わる。そういう意味ではSNSやインターネットでの文字情報でのやり取りではこの感性は伝わらない。文字情報ゆえの恐ろしさがある。

コロナ禍が早く収まって、人と人との交わりという場がさらに増え、共感性のある大人がこの気持ちを子どもたちや周りの人に伝えていってほしい。困っている人に対して上から目線の「同情」ではなく、「大丈夫」と寄り添える、そんな人が増えていけば。

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