「”運”も必要」 「山道擦れ違いも命がけ」 8000メートル級登山家が講演/兵庫・丹波篠山市

2021.12.17
地域

8000メートル級の山に登頂した経験を語る山本さん=2021年12月1日午後4時2分、兵庫県丹波篠山市本明谷で

兵庫県丹波篠山市本明谷の農家民宿、やまどり庵でこのほど、2019年の1年間にエベレスト(標高8848メートル)など8000メートル級の3山登頂を成し遂げた山本美雪さん(53)=大阪市=の講演会が開かれた。同民宿を営む若本勝治さんが以前、山本さんと同じ登山愛好家の会に所属していたのが縁で実現。若本さんの登山仲間や、地元福住地区の住民ら約20人が参加した。

山本さんは08年に趣味で登山を始めた。10年に病気で妹を亡くし、「後悔のない人生を送ろう」と強く思ったという。11年に若本さんが所属していた西宮明昭山の会に入会。17年からは世界に舞台を移し、18年には6000メートル級の3山登頂にも成功している。

講演では、急傾斜で細い道が続くエベレストの過酷な山道の様子を紹介。「座って景色を眺めている人の横を通り過ぎると遺体だった。雄大な景色を眺めながら、ある意味、その人は幸せだったのかもしれないと思った」と振り返った。

ただ、多くの人が登っているので、細い登山道で擦れ違うのも命がけで、自身の酸素ボンベの容量を考えると、「困っている人がいても助けられない」と、緊張感あふれる現地の様子を伝えた。山頂で日の出を拝むつもりが、予定より早く着き、「月明りがきれいだった」。しかし、次々と登頂してくる人がいるので、すぐに下山しなければならなかったという。

挑戦する前は、「早く登りたくてしようがなかった」。酸素濃度を平地の半分以下に抑えた中でできる特殊なトレーニングを積んだ。「登山には技術もいるが、体力がなければ発揮できない。技術より体力だと、必死でトレーニングした」と言い、「でも8000メートル級になると、運もいる。天候はもちろん、少し下痢をしただけでも命取りになる」などと話していた。

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