山中に謎の枝ぶらり 「レ」の字の鉤 山の神に捧げて難逃れ【シリーズ・丹波ムー】

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横木にぶら下がる数多くの「鉤」=兵庫県丹波市春日町多利で

兵庫県丹波市春日町多利の「日ヶ奥渓谷」の山道脇に、「レ」の字形に加工された枝が整然とぶら下がる異様な光景が見られる。立木に、長さ約2メートル、直径5センチほどの木が物干し竿のように水平に結わえられ、そこにレの字形の枝がびっしりと引っ掛けられているのだ。そのそばには高さ50センチほどの小さな社が鎮座している。「この先、立ち入るべからず。日本の法律は適用されません」といった禁断の地への結界か、はたまた誰かを呪うまじないか―。

木の枝の二股部分を利用して作られた「鉤」

「いえいえ、そんな物騒な物ではありませんよ」と笑うのは、同集落の自治会長・舟川和宏さん(66)。レの字形の枝は、「毎年1月9日に、この山の神様を祭る神事の際、親指ほどの太さの枝で作った『鉤』を神域に掛けるという風習があるのです。災難逃れを祈った、いわゆるお供え物です」

レの字形のお供え物は、枝分かれした二股部分を適当な長さでカットして作られている。大きさはまちまちだが、長辺約30センチ、短辺約15センチが中心。

 

 

 

山の神を祭った社

祭事を執り行っている阿陀岡神社の藤田謦司宮司によると、いつから始まった風習なのかは不明だが、その昔、村人が山仕事で山に分け入る際、鉤状の木を持ち歩き、足を滑らすなどした際、とっさに立木に引っ掛けて身を立て直したり、滑落を防いだと伝わる。それがいつしか、山で遭難しそうになったときに、山の神がこの鉤で引っ掛けて助けてくれるという言い伝えに変わったのだという。

舟川さんは、「この山道は市島の神池寺へとつながっている。神池寺へ向けて出発する前には、山の神様に鉤を納めてから出掛けられては。危ないときに神様が助けてくれるかも」とほほ笑んでいる。

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