NPO法人サウンドウッズ代表理事 安田哲也さん(丹波市氷上町賀茂)

2022.01.09
たんばのひと

安田哲也さん

建物で森の将来伝える

2009年にNPO法人を立ち上げ、地元の山の木を建築などに生かす仕組みづくりを提案すると同時に、次の世代につなぐ森を育てる人材育成に取り組んでいる。木材利用をより促進する法改正などが後押しし、地元の木で公共施設を建設する自治体が増えるのに伴い、伐採から建築までの道筋をつける支援を求めるニーズが、ここ5年ほどで高まっているという。

富山県魚津市立星の杜小学校建設では設計チームの一員として関わり、20年度に木材利用推進中央協議会主催の「木材利用優良施設コンクール」で国土交通大臣賞を、また、岡山県西粟倉村のあわくら会館(役場庁舎、生涯学習施設、図書館の複合施設)建設では木材調達などの業務に関わり、今年度の同コンクールで最高の内閣総理大臣賞を受けた。

一方、木を使うことと育てることの両方に理解を示す人を増やそうと、法人発足時から取り組む木材コーディネーター養成講座の“卒業生”は200人に迫る。最近は、市町村を指導する立場の県から、地域の木材産業の課題を解決したり、森を生かしたまちづくりの計画をつくったりする際の後方支援依頼が多く、10府県以上に携わっている。法人スタッフだけでは手が回らず、講座の卒業生にも関わってもらいながらノウハウを広げている。

「建築にはあらゆる年代の材がいる。公共施設を造るために切って終わりではなく、あらゆる木がそろう森を維持することも必要。地元の木でできた建物を見れば、山に対する所有者の期待感が高まるなど、いろんなものに波及するはず。公共の物だからこそ、将来に向けたメッセージになる」。1級建築士。51歳。

関連記事