「県農業賞」受賞 有機農業40年の酒井さん 「先輩、消費者、そして夫に感謝」

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県農業賞を受賞した酒井さん=2022年1月27日午前10時9分、兵庫県丹波篠山市北新町で

兵庫県丹波篠山市油井の農業、酒井菊代さん(66)にこのほど、農林水産業の振興への功績が顕著で、経営や技術が優れているとして、兵庫県から「県農業賞」が贈られた。市内からの受賞は21年ぶりで、女性では初めて。化学肥料や農薬を使わない有機農業に携わって40年以上、有機JAS認定も取得するなど、先駆者でもある酒井さんは、「これまでから有機農業を続けて来られた先輩方、野菜を買い続けてくれた消費者、そして、支えてくれた夫のおかげ」と言い、「これからも有機への理解が広がることや、さまざまな農業が丹波篠山で栄えることを願っている」とほほ笑んでいる。

現在、140アールの農地で水稲のほか、タマネギやニンジン、黒大豆、小豆など約30品目の野菜を栽培している。

代々続く家族経営の農家。幼い頃から農業に携わり、その大変さが身に染みていたため、「農業は大嫌いだった」と言い、保育士として社会に出た。

転機となったのは息子の病気。同じ小児病棟でさまざまなアレルギーに悩む子どもたちの姿を見たことから、口に入る食べ物の安全性の重要さを実感し、「農」の道に入ることを決意した。

1974年、父の秀幸さんが仲間たちと共に立ち上げた「丹南有機農業実践会」に当初から参加。販路を広げ、経営の安定に貢献した。

実践会発足時は安全安心な食べ物への関心が高まり始めた時代。同会が栽培した野菜を尼崎市の消費者団体が全量買い取るという画期的な仕組みを始め、生産者が直接野菜を届けることで「顔の見える信頼関係」を築いた。全量買い取りではなくなったものの、今もつながりは続いている。

また、有機野菜を栽培する農家らでつくる市民グループ「篠山自然派」でも情報交換や有機農業の普及に努めてきたほか、農業委員への女性登用の働き掛けや、県農林水産政策審議会委員として男女共同参画推進にも寄与している。

有機農業は農薬を使わないため、虫や病気との戦い。「虫の夢を見ることもある」と言いつつ、「やっぱり消費者の方から『おいしかった』と言ってもらえることがやりがい。食べ物だから一番大事なのはおいしいかどうか。そこに安全安心が付いてくるのが有機だと思う」と話す。

最近は丹波篠山に移住し、農業を始めたいという人からの相談も受けることも多くなったが、「有機で食べていくのは難しい。そして、きちんと現金収入を持っておくことの大切さを伝えている」とにっこり。「私は夫(昌宏さん)がスポンサー。彼のおかげで挑戦的な農業をしてこられた」と感謝し、「農業賞は彼への感謝状」と笑った。

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