のっしのっし 異形の鬼が「厄払い」 600年続く伝統行事「鬼こそ」

2022.02.11
地域歴史観光

松明や矛などを手に、のっしのっしと本堂回廊を練り歩く鬼=2022年2月11日午後1時29分、兵庫県丹波市山南町谷川で

兵庫県丹波市山南町谷川の古刹、常勝寺(宮崎実康住職)で11日、「鬼こそ」の名で知られる厄払いの伝統行事「追儺(ついな)式」が営まれた。鉦(かね)や太鼓が鳴り響く中、縄で縛られた体に長い乱れ髪、飛び出した目、大きな口をした赤鬼と青鬼4匹が登場。風貌こそ恐ろしいが人間の味方で、矛や太刀、火のついた松明などを持ち、本堂の回廊を練り歩き、ユーモラスな所作で参拝者の厄をはらって回った。

同寺の開祖、法道仙人が鬼を改心させたという言い伝えにちなみ、約600年前から続く儀式で、保存会が継承している。

僧侶が無病息災や五穀豊穣を祈願する法要を行った後、ほら貝の音を合図に鬼の子とされる法道仙人と鬼が登場。仙人役の藤本隼颯君(8)に先導され、鬼役の足立龍太さん(58)、村上覚さん(59)、藤本和昌さん(29)、足立祐貴さん(36)が、厄除息災などを祈って六法を踏む力強い足取りで本堂の周りを一周した。最後にご利益があるとされる松明を参拝者に向かって投げた。

鬼面は現在3代目で、初代の2つの面と、2代目の5つ面(法道仙人含む)は市指定民俗文化財となっている。

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