もとは耕作放棄地です 養殖池で錦鯉育て3年 たどり着いた鑑賞即売会

2022.02.19
地域

屋内ハウス池で育てているニシキゴイと黒瀬さん(右)、中島さん=2022年2月9日午前10時32分、兵庫県丹波篠山市殿町で

兵庫県丹波篠山市で農業事業を展開している「株式会社やがて」が、耕作放棄地などを活用し3年前から取り組んできたニシキゴイ養殖の成果を初めて披露する「錦鯉鑑賞&春の即売会」を、3月12、13の両日、同市殿町地区の養魚池で開く。午前10時―午後3時。同社代表の黒瀬啓介さん(42)は、「日本庭園に欠かせない伝統文化のひとつであるニシキゴイの良さを見直していただき、耕作放棄地を再生する取り組みを知ってもらえれば」と話している。

同社は2019年、黒瀬さんと中島武史さん(52)の2人で立ち上げた。ともに丹波篠山市に移り住み、それぞれ農業に打ち込む中で出会った。

水田の背後に広がる山林も含めて、生物多様性に富む地域をつくろうとうの思いから有機農業を展開。黒大豆を主に水稲、栗、山の芋、食用バラ、ハーブ、養蜂などを手掛けている。殿町地区を中心に面積は計8ヘクタール。そのうち5ヘクタールが有機JASの認定を受けており、今年、新たに2・5ヘクタールが認定を受ける予定。

養鯉も同社の事業として設立当初から構想を練り、翌年に着手した。殿町地区の住民から借り受けた山際の耕作放棄地に重機を入れ、養殖池として整えた。屋内ハウス池も備えた。近隣の京都府綾部市の養鯉家で、日本錦鯉振興会京都支部長を務め、全国にファンも多いという「錦鯉むらかみ」代表の村上二三夫さんから養殖の方法や、品質を高める技術について指導を受け、養殖池に稚魚を放流することから始めた。

アシなどが繁茂していた耕作放棄地を再生した養殖池は現在、計3・5反で、さらに4反ほど広げる計画。養殖池の奥にあるため池もニシキゴイの飼育に活用している。

「錦鯉鑑賞&春の即売会」では、「錦鯉むらかみ」で育ったニシキゴイをメインに展示販売し、「やがて」で育てた幼魚から成魚までを見てもらう。「やがて」で栽培した黒大豆などの有機農産物の販売もする。

同社は、「今後も耕作放棄地を生かして養鯉業を拡大充実させ、村上さんに負けないようなニシキゴイが育てられれば」と夢を描いている。

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